この映画が公開されたのは1968年1月だが、当時いち早く日活アクション評論で有名な
渡辺武信が、「凶区」という同人誌で絶賛している。
過去の東映仁侠映画の残像を一身に浴びたような紛れも無い名作だ...というような
内容だったと思う。そしてこれ程の名作が生まれたのは、夥しい量の仁侠映画を量産する
プログラムピクチャー制度の偶然のなせる業だとも・・・。
まぁ、いずれにしろ鶴田は勿論、若山、桜町、名和、金子、三上など脇役に至るまで俳優
人生最高の演技を見せた(偶然なんだろうが)作品だわな。
三島が誉めたのは公開後だいぶ経ってから。ただ、あの格調高い文章がこの作品の評価を
決定付けたのは間違いない。三島の他では、虫明亜呂無の書いた評論も忘れ難い。