「原作付き」という言葉自体が珍妙だが、それは脇に置いておいても「小説の映画化作品を語るなら原作を読んでおくべき」
とは思わない。
思わないが、こっちは深沢七郎ファンなんで、あなたとは違って「楢山節考」は勿論「風流夢譚」まで読んでる。
読んでいるからこそ、今村が木下版「楢山節考」に不快感を抱いた理由は理解できるし、原作をあのように脚色従った今村の狙いも理解できる。

だがそれは理解できるというだけのことで、「楢山節考」が世紀の大傑作だと言う気はないし、そもそも好きな作品でもない。
今村に心酔し切っている人といったら、マーチン・スコセッシと武重邦夫くらいなものじゃないのかな。
長谷川ゴジにしたって、今村のカーツ大佐ぶりを冷やかに語っていたくらいで、ちっとも弟子らしくない。