田坂具隆・内田吐夢・島耕二【日活多摩川】
現在、千石の三百人劇場で田坂具隆監督の特集上映を開催中で、
そういえば田坂監督のスレってなかったなあ、と思い立ててみました。
ただ、田坂監督だけでは、ちょっと弱いので、戦前の日活多摩川
出身の、内田吐夢、島耕二といった監督共々、語っていきましょう。
ついでに、小杉勇も入れておこうかな。彼は、戦後の日活のSP
作品が殆どですが。 進駐軍が接収したフィルムの返還プロジェクトには入ってないのかね? >>44
映画「海軍」に関しては何故か甲標的の真珠湾突入以降のシーンが全編カット
されて返還され、そのままVHSビデオとして松竹から発売された。
カットされた部分全部が>>43のDVD、ISBN 1-58565-940-1に収録されている
というわけ。 『日本映画発達史』にて記述された吐夢監督の『土』が撮影された経緯を読み、感服した。 「宇宙人東京に現わる」ダイジェスト digest of "Warning from Space"
http://jp.youtube.com/watch?v=a8xY8hDC5-c
監督:島耕二
特撮を的場徹、宇宙人デザインを岡本太郎がやっているから、
結構豪華な映画なのかも。本邦初の本格カラーSF映画。
(1956、大映) 田坂具隆監督1934年作品『月よりの使者』(入江たか子主演)、フィルセンにて発掘上映age
フィルムセンターにて『月よりの使者』、14日(水)19時の回は入り7〜8割。サイレント映画で、
プリントの状態は所々悪化しているものの、全体としては、状態は悪くないか。
田坂監督の作品ということ以上に、とにかく入江たか子の大ヒロイン映画。全盛期のノーブルな美貌
とスタイル(サナトリウムのシスターふうナース・コスチュームがたまらん!)を存分に堪能できる。
「波瀾万丈の物語」にしても、非常にお話しの展開がつかみづらかったのは、欠落している部分があっ
たゆえか? それでも田坂監督ならではの、丹念かつ時に意欲的な映像表現に終始見応えがある(撮影
・伊佐山三郎)。『滝の白糸』だけじゃなくて、この作品のかぐや姫ぶりを多くの人に観てもらいたい
と思ったけど、商業用のプリントがないと、なかなか難しいのかな。 空襲で死んだ内田家の飼犬チョン吉は、田坂監督の家のポインターと藤原釜足の家の日本犬
の間に生まれた犬。 ラピュタ三田特集モーニングにて、田坂監督カルト作品(錦之助入魂)『鮫』上映age
7月6日(日)より1週間、連日10時半上映開始 シネマヴェーラにて、吐夢監督生誕110周年特集上映age >>52
クソ映画w
本当に錦之介はスターさん向けの時代劇以外はダメだね。 シネマヴェーラにて『たそがれ酒場』。終始キズはあるが16ミリプリントの状態は良好。入りも悪くない。
舞台は、日本酒も主力商品な、女給も多く居て、声楽、ストリップもある大きなビアホールの一夜。客として
名優が入れ替わり立ち代わり。東野英治郎、加東大介、女給役の野添ひとみを取り合う若き宇津井健とラッキ
ーストライクでキメる丹波。敗戦の色が濃く、主役の常夜客・監督の盟友でもある小杉勇が絵筆を折るに至る
韜晦を江川宇礼雄が受けとめたりもする。 「演出は整然としているが、人物の描写に底の浅さがあり、感傷
に堕しすぎている」と滋野辰彦には酷評されているが、昭和30年新東宝久々のヒット作品。邦画離れしていて、
なかなか面白かったと思うが。声楽家、老ピアニスト役の人はプロらしく、結構聞き応えがある。まとわりつく
犬ッコロには、やはりチョン吉が投影されているのか。 続いてシネマヴェーラ活弁付き上映、まずはちょっと異様なタイトルな『虚栄は地獄』。キズ多数も、プリント
状態はこの時代からすればわりと良好。とにかく15分しかないので、チラシにあるような“本当の仕事を隠そうと
すればするほど・・・” などという展開は物理的に存在しない。微笑ましいといえば微笑ましい、ごく一般的な
内容。劇場公開作品というのではなく、学校教育、社会教育用の巡回フィルムらしく、「思想善導用フィルム」
80本余のうちの「教訓劇」4本のうちの1本とのこと。残っていて、観れるのはたいへん幸せだが、それ以上の
ものではなかった。ヒロインがかなり不細工なのも辛い。 2本目は『生命の冠』。プリント全体はキズだらけだが、鑑賞に支障なし。移行期でトーキー版もあったらしい
が、現存するのはこの無声のプリントのみとのこと。 岡譲二の全盛期を伝える貴重なフィルム。オホーツクロケ
にも見応えがあり、『限りなき前進』や『土』にも通ずる骨太演出と独創的な題材を存分に感じさせる(脚本・八
木保太郎)。 チラシを信ずると、当時の検閲の関係から労使問題を十分に掘り下げられなかったとのことで、確
かに敗北主義というのか、工場明け渡しまでの奇妙に明るく淡々とした展開が物足りなくもあるのだが、しゃあな
いのか。“生命の冠” はヤコブ書からの引用で、弟が「ぼくのはずいぶん小さそうだな」と言うのがオチ。多からず
少なからず登場場面がある原節子が、やはり突出して美しく一見の価値。 シネマヴェーラにて『妖刀物語 花の吉原百人斬り』。カラーシネスコ、国際交流財団が焼いた英語字幕
付きプリントで全体としては上々のコンディション。タイトルクレジットは「花の吉原〜」が主。
千恵蔵、右顔面、眼の部分を含む半分以上(シークエンスにより面積差あり)にかなりハードな痣メイク。
結婚はおろか花街でも敵娼さえつかない。「恋は恋でもカネ持って来いの恋」を知らん人という設定なが
ら、「妖刀」の伏線が全くと言っていいほど張られていない(脚本・依田義賢)ので、ラストの一町人に
よる大立ち回りが異様に感じられる。吐夢監督、何か含むものがあるのか、単に演出上のものなのか。
それでも上昇志向の岡場所アガリの水谷良重が非常によく、これが別のお姫様系女優だったら、さらに後
味の悪い作品になっていただろう。三島雅夫&沢村貞子の戦前コンビによる強欲な置屋夫婦も絶品。歌舞
伎ではもう少し重要な役回りらしい木村功がもったいない使われ方に思えた。 同じくシネマヴェーラにて古巣日活での石川達三原作の『自分の穴の中で』。本日のモノクロスタンダード
16ミリプリントは、画面右端終始雨降り、細かいキズは多数、雑音も少々だが、全体としては悪くないか。
日活制作再開初期文芸路線、長尺に不安も感じていたのだが、三国のアクの強い演技、“裕次郎以前”の見応え
ある北原三枝に引っぱられて、わりとダレずに観れる。病床に伏せっきりのネコさんも、三国に圧倒されつつ
いい味を出し、終盤の妄執狂乱死で一花咲かせる。宇野重吉の、含羞に満ちた終盤の演技も素晴らしい。
吐夢作品にしては通俗的に過ぎる気もしたが、月岡夢路が全く「よろめかない」アタリに、らしさがあるのか。
監督は、石川作品は彼が叙事作家だから好きで、それは自分が常日頃なんとかして映画の叙事作家になりたい
と希っているからだ、と記しているが、地味ながら見応えのある作品。日本は米国の一地方に成り下がったと
いう認識を持ちつつ、かつての戦争の呪縛からは、だいぶ解放された感もある。 遺作「真剣勝負」。
脚本を書いた伊藤大輔の遺作は「幕末」なのに、この差は何だろう(質じゃないよ。規模の話。質的にはどっちもどっちだ)。
あ、主役はどっちも錦之助だ。
BSで既に見ていたが、スクリーンで見ても大して印象は替わらない。
あの尻切れは脚本通りなのか? それとも病でクライマックスが撮れなかったのか?
冒頭の三十三間堂は書割の上に、人物を合成という実に安っぽいことをしている。これはスクリーンでなければ判らなかった。
多用されるモノローグに、意味不明なストップモーションの濫発(技術上の都合かその箇所を含むカットの画調が替わるので、後半になると、来るな、と判る)。
「幕末」もこんな感じだったか。
遺作までクオリティを保ち続けた巨匠はD・リーンくらいなのかとしみじみ思う。
神保町シアター、日活文芸映画特集。
田坂監督作品『女中っ子』『陽のあたる坂道』(209分!)上映age。 神保町シアター、森雅之特集。
島耕二監督作品『グッドバイ』(短縮版)『東京のヒロイン』上映age。 神保町シアターにて、『東京のヒロイン』。モノクロスタンダード、終始雨降り、細かいキズで一部音声
も不良だが、わりと観やすいプリント。日曜日ほぼ満席の入り。 「終」マークは出るものの、何だか中
折れ的な終わり方だなと思っていたら、終映予定時刻よりも30分近く早いエンド(94分→63分)。納得の
いかない観客複数が何も知らん案内係のネエちゃんに詰め寄る。「再編集版」でした、との訂正貼紙がすぐ
出る。 映画自体は、ホノボノ系もちょっと入った、王道男女喧嘩友達作品。木全公彦インタビューによれ
ば、脚本の長谷川公之(デビュー作)が、野口久光に監督市川崑でいきたいんだというのを、そもそも主演
高峰秀子を構想していて、『グッドバイ』観ていたんで島耕二でやってほしいといったアタリ(当時の市川
崑は評価できなかった)が非常に興味深い。 結局ヒロインは、当時監督と熱愛中の轟夕起子になってしま
ったんだが、確かに画面からは体の線が崩れてきてそのオバチャン化はなかなか辛く、まだガキ臭さが残る
妹役の香川京子のほうがヒロイン然としていた。中年編集長役が森雅之以外だとキツかったかもしれないが、
演出自体はダレずに観れる。笑い上戸の酔っぱらい役、潮万太郎が飛ばしまくるあたりでは、場内が結構盛
り上がっていた。 引き続き神保町シアターにて、『グッドバイ』(再公開版でタイトルは「女性操縦法」グッドバイより、と出る)。
こちらも雨降り、キズ多数だが、『東京の〜』よりはよい状態。時折BWの色調が変わる。チラシ80分→70分。
かなり、面白い(脚本・小国英雄)。演出にキレも意欲も、感じさせる。洋画タッチで、お洒落。何よりも、『浮雲』
(この日曜日昼の回の同作品上映では札止め)コンビでこういった作品が観れるのが嬉しい。デコ余裕のコメディエ
ンヌぶり。ただラストが、ちょっと取って付けたような印象。森雅より先、2番目にクレジットされていたにもかかわ
らず今回のフィルムではあまり登場しなかった若原雅夫とのシーンが大幅にカットされてしまったゆえか。 神保町シアターにて、『浪花の恋の物語』〈ニュープリント〉上映age 神保町シアターにて、島 耕二 監督作品、若尾文子&菅原謙二による『滝の白糸』上映age 息子さん二人はちゃんと映画撮っています。
内田一作
「変身忍者嵐 怪奇!死人ふくろう」(1972)
「仮面ライダーアマゾン」(1974)
「ザ・カゲスター」(1976)
内田琢磨
「おあずけ」(1990)
「やりたいもんもんボーイズもう一つのためのダンス甲子園!!」(1992) 本日、吐夢監督作品『恋や恋なすな恋』、文芸座上映age 田坂監督の当時の興行的には大失敗した『ちいさこべ』は、錦之助の演技の幅ということで、
もっと見直されてよいと思うのだが。 その『ちいさこべ』文芸座の錦之助特集finalにて上映age 文芸座にて『続・親鸞』、カラーシネスコ、フィルセンプリントで状態は良好。
冒頭、前編のダイジェスト。お話しの語り口は相変わらずゆったりだが、月形龍之介演ずる法然が、
まず登場して短からず法話を行うシーンに驚嘆。役者ってこんなに凄いのかと、雷に撃たれる。この
部分もまた「吐夢が猪突猛進に駆け抜けていった後を、ゆっくり落穂でも拾いながら、彼が落として
いったものを見つめていく」ゆえに見えてきたものなのかもしれないが、とにかくこのシークエンス
だけでも本作必見。錦之助は、気のせいかもしれないが、前編よりだいぶ親鸞役が板についた感。
ヒロインが変わらずチョイブサなので、どうなのか? の感もあり。「妻帯」がこの続編の大きなテ
ーマになっているんだが、もうひとつピンとこない。カツヲも相変わらず情けない。後見役の千秋実
は、変わらず健闘している。セット(にみえてしまうところ)が、またもう一つか。 神保町シアターにて、島監督作品『銀座カンカン娘』上映age >>71
内田吐夢の息子は3人? 長男・内田有作(元東映演出部・製作部、元東映生田スタジオ所長)、
次男・内田一作(TV映画監督)、三男・内田琢磨(映画監督? 俳優「琢磨一生」
として「炎のごとく」に出演)
有作・一作兄弟と琢磨の母親は違ったんじゃなかったかな? 3人ともまだ亡くなっては
いないと思うけど・・・。
東映生田スタジオは大泉が労働争議で使いにくくなったので生田に仮設されたプレハブの
サイテーのスタジオだったらしいけど。有作・一作兄弟はそこで東映のヒーローものを
作っていた。検索すると一作氏は元々は日活の助監督だったらしい。
3人とも公のデータに残っていない期間の方が長く、詳しいプロフィールは謎。
とくに琢磨氏はなぜ映画監督なんかやったのだろうか?
巨匠の息子たちの人生の数奇さの方に惹かれる。 神シアにて、島監督作品『銀座カンカン娘』。冒頭のスタッフ、キャストタイトル時には
音無し(欠落?)。キズは多いが、わりと見やすいプリント。
ミュージカル映画として観るならば、同じ灰田勝彦(紅白スター)が出てくるマキノの『
ハナコサン』のほうが、数段上か(ミュージカルにもなってないとの意見もあるだろうが)。
それでも何と言っても本作は志ん生登場に尽きるか。キズ多数とはいえ、NHKに残るボロ
ボロのビデオよりも遥かに鮮明に、動き、喋る、志ん生(演技的にはもちろん下手)。
「疝気の虫」の稽古風景で大感動していたら、最後『代り目』をたっぷり。そのラストの
処理なんかは映画的にはテキトー感が漂うが、ブラック師はもう、大傑作認定。
序盤、カット割りのせいなのか、何だか創成期のホームドラマを観ている感もなくはない
のだが、高峰秀子の歌も、笠置シヅ子と並びながら悪くない。
神保町シアターにて、島監督作品『十代の性典』上映age
島耕二は晩年の監督作品「細雪」(谷崎潤一郎原作)が記憶に残っている。長女に自分の奥さんの轟夕起子を使っている所がミソ。
次女から順に,京マチ子、山本富士子、叶順子と当時の大映全盛期の豪華顔ぶれ。
しかし残念ながら「細雪」は市川昆監督、岸恵子、佐久間良子、吉永小百合、の作品が質、顔ぶれとも最高峰だろう。 市川昆監督「細雪」は当初、長女役は山本富士子の予定だったらしい。
しかし富士子が難色を示したため昆が岸に泣きついたとか。富士子がこの役をやっていたら
細雪女優として後世に名を残しただろうが残念ながら只の時代の徒花女優として終わってしまった。
この映画を長女富士子に加え四女役を古手川祐子ではなく薬師丸ひろ子にしたら「映画ファン夢の顔合わせ」になったであろう。 妙子に薬師丸か、面白い配役だね。
古手川の妙子は良かったけど、
他の女優さんがスター系だから、
まじめな着実な演技が浮いていた。
古手川が悪いわけじゃないけれど。
富士子の鶴子も見たかった。
年齢的に雪子やりたいのもわかるけど、
どう考えても鶴子が似合う。
けど京マチ子の役がなくなっちゃうね。 「細雪」の映画化は昭和38年に東映でも企画され、監督・吉村公三郎で
有馬稲子・岡田茉莉子・佐久間良子(雪子)・三田佳子と豪華版であったが
女性映画に消極的な東映の為、実現しなかった。これも残念な映画ファン「夢の顔合わせ」であった。
>>33
あんな凄い映画はほかのアジアに無いよ。
というかどこにも無い。 神保町シアターにて、島監督作品『アスファルトガール』上映素材
35ミリ→16ミリ変更age 丘さとみが末娘の妙子でもおもしろそうだけど、
1963年だと佐久間良子、三田佳子が集客力あるとは言えない状況で、
やはり東映の役者だけではちょっと厳しいかね。 東映企画版「細雪」には更に お手伝いさん役に本間千代子、パーマ屋店員役に藤純子も決まっていたとか・・!是非実現して観たかった!!映画ファン「夢の顔合わせ企画」の一つである。 神保町シアターにて、島監督作品『複雑な彼』。カラーシネスコ16ミリ
プリント、下に黒みが出るとのお断り放送あったが、下のほうが少々切
れた映写。状態は良好。 上映される度に、二郎たん=安部譲二設定に
ついて各方面に怒りを買う作品だが、桑港&リオ現地ロケ敢行の観光映
画として睡魔に襲われつつ鑑賞していると、終盤トンデモ展開で、油断
ならない。謎のフィクサー&ヒロイン高毬子の位置づけなんかも、今後
要検討。 神保町シアターにて、田坂監督の『はだかっ子』、カラーシネスコ富士
フイルム、ワンカット劣化あったが、ニュープリント。 父ちゃん戦死
で貧しい母子家庭ながら、その母ちゃんは小暮実千代、担任の白ブラウ
スの女教師が有馬稲子(とてもよかった)で、間借りの1階には親父代
わりの三国連太郎という非常に恵まれた、ちょっと肥満した短パン主人
公少年。みんなが修学旅行に行ってる間に同じく不参加の同級生のスケ
を赤自転車の荷台に乗っけて遊園地(ユネスコ村)抜け駆け2shoデイ
トをキメるモテモテ君ぶり。 いつもながらの長尺ワールドで、有馬先
生のUNESCO理念の世界平和教育、町の実力者・織田政雄がとっちめら
れる「親子討論会」のシーンとかも、たっぷり。 横断歩道がなくて、
渡るのにいつもスリル、その上空に飛び交う米軍航空機の図も印象に残
り、最後のほうはシアター内すすり泣き複数。
製作主任・内田有作、劇中の犬の名前はコロ。 明日より文芸坐にて、内田吐夢没後40年回顧上映age。
フィルセンからプリント借りまくり。
神保町シアターにて、島監督の出世作(これで俳優から卒業)『風の又三郎』。
モノクロトーキー、終始雑音、キズ多数も、わりとみやすいプリント。
冒頭の風に流されるるタイトル&スタッフ、キャストクレジットから気合い入り
まくり。 又三郎登場までの、ガキふたりの登校シーンは文句なく素晴らしい。
その後も風を関連させた細かい演出、片山少年を憧れの眼差しで見つめる地元民
の視線は完全にショタ映画の領域。「発達史」も大絶賛。猪俣勝人が熱く語る、
脚色の氷見隆二の貢献は、今日では語られないのか。
“ガラスのマント”がビニール感出しまくり、飛び去る合成も今日的にショボ過ぎ
るのが辛いし、ファンタジーとしての飛翔感にもう一つ物足りなさを感じるのは、
宮崎アニメ以降だからかと思いつつも、どうどど どどうど どどうど どどう 文芸坐にて、内田監督の現代劇『どたんば』。モノクロ東映スコープ、
フィルセンプリントはキズわずか。 序盤の坑内のシーンは、セット?
どっかで撮った? 調べきれなかったが、くそリアリズム(あまり適切
な表現ではないか)というのか、川があふれそうになっているカットと
かどうやって撮ったんだろうという驚き、何だか凄い映画だと圧倒され
ながら映画は進む。閉じ込められた坑夫たちのドラマかと思ってたが、
中盤以降は救出側の緊急事態での人間性が剥き出しになった群像ドラマ
で、これも見応えがたっぷり。大陸で培われた人間観もあるか。
ラストの演出はちょっとやり過ぎ感もあるが、ヴェーラが商業用のプリ
ントを焼けなかったのが痛恨。 続いて文芸坐にて、『暴れん坊街道』。モノクロスタンダード、やや雑音あるも
フィルセンプリントの画面はきれい。 時代劇初登場という情報もある佐野さん
がやはり非常によい。前半のさわやかなマイペースっぷりと、ラストの潔さ。
千原しのぶも、カッコいい。千恵蔵息子は悪くなかったが、ちょっとやり過ぎで
クサいか。山田五十鈴を褒める人もいるが、わたしは不発に感じた。
時代考証で池田富保監督のクレジットが出たのは、その戦前作品との関連か?
文芸坐にて、『黒田騒動』。モノクロスタンダード、キズ時に目立つも、全体
としては良好な、これもフィルセンプリント。 多くが指摘するように、前半
は何だかモタモタで睡魔に襲われる。公開当時は三大お家騒動の一として、あ
まり説明する必要がなかったのかもしれないが、キリシタンの陰謀とかが、し
っくりこない。 それでも大掛かりな大炎上シーン、大友と囲碁する緊張感に
ドキドキ以降、千恵蔵の独壇場で非常に盛り上がり、ラストまで楽しめる。 内田監督特集、文芸坐にて『森と湖のまつり』。カラーシネスコ、1ヶ所のみ雑音
あったが、他はほぼおニューなフィルセンプリント。芸術祭参加作品。
若さゆえではとても許されない健サンのマジキチっぷりが存分に堪能できる一品。
ガチンコのライバルが、これも全身にギンギン精気が漲る風の三国連太郎。ラスト
の決闘もグレーシーの入った壮絶な結末で素晴らしい。高笑いのうちに姦られてし
まう(和姦)香川京子がもう一つだったが(当初は有馬が演るはずだったらしい)、
加藤嘉の思いがけない名演の連射には興奮させられた。
わりと微妙な問題もストレートに描写。掘り下げが浅いとか、うるさいことを言う
人もいると思うが、残された習俗風景も今日では貴重だろうし、数々のロングショ
ットが美しかった。 文芸坐トワイライトショー、澤登さん活弁つき。『人生劇場』マツダ映画社の
16ミリプリント、オリジナルトーキー117分→無声47分の“縮刷版”(?)との
こと。恐ろしく雨降り、キズ多数、画面が白っぽくなって観辛い場面多々。
随分前から、このプリントしか残っていなかったようだが(フィルセンも)、
お袖の村田千栄子は全く出てこなかったし、ことごとく名場面が欠落したプリ
ントという情報も。青春の挫折とともにもう一つの目玉である父が子を思う心
情と、吉良常の山本禮三郎の凄みは辛うじて伝わるという感じか。
戦後、佐分利二部作をはじめ、いくらリメイクされても団菊ジジイが本作を賞
賛した「文芸映画からトーキー芸術」に飛躍した(青野季吉)という歴史的位
置づけは、完全版を観ない限り、存分に感受できないのか。 神シアにて島監督作品、若尾文子の『滝の白糸』。カラースタンダード、色味は
ともかく、キズはあまりなし。 白糸役にしてはオボコではないかと懸念し、実
際見せ場の水芸シーンはきゃあきゃあさんの延長だったが、全体としてはそれな
りにしっかり演る。序盤の馬車と人力車との競争から始まる見せ場は場内やや受
け。晴れ空に雨などの手抜きカットもあり。月明かりでの再会シーンなど、情緒
を出そうとしているのはよく伝わるがイマイチなのは菅原の責任か? 溝口作品
で妙に有名になっているが、新派とはいえ、異様なストーリー展開が本作では脚
本結末ぬるぬる改変でさらに何なんだ感強し。沢村貞子はやはり見応えあり、若
原一郎の劇中歌も金払った満足感を多少なりとも満たしてくれる。 島耕二監督の肉声なんかは、キネ旬の古い号を丹念に見ていけば集められるのかな。 >>99
香川京子が姦られる場面はあっけなさすぎた。
せめて香川京子の両肩とか背中とか足の動きの大写しぐらいはあってもよかった。 >>102
昔の明星、平凡なんかもいいですよ。
スターを使った映画を結構撮っているので。
香川と小津にフォーカスした「東京物語」の撮影ルポを
読んだことがある。二人のコメントもあった。 >>104
ありがとうございます。
キネ旬ではないのでフィルセン図書館にはないけど、
そういったところから探していけばいいんですね。 島監督は日本映画俳優学校を卒業後、日活撮影所へは当初監督志望で
入社したそうだ。 成田ミッキー目当てでネマヴェーラにて島監督作品『怪談おとし穴』。
モノクロシネスコ、独特の画質感。白黒コントラスト極度の強調というのか、
ハイキーの場面、部分と、影を映した場面とを作り込んだ感じ。粒子が粗っ
ぽい感じは16ミリプリントなのでより感じる? とにかくそういった画調が
オフィスビルの昼夜といった舞台や現代の怪談という作品テーマを盛り上げ
る。 小原譲二カメラマンの最後の作品。
お話しは定番中の定番ながら、序盤のキレよく結構期待させるが、段々流し
た感じに。ある意味、職人芸なのか・・・。
渚まゆみは、生きているときも、死体のときも、幽霊になってからも、すべ
てがパワフルにコワイ。 神保町シアター女優モード特集にて島監督作品若尾主演混雑必至『処女受胎』
ならびに京マチ主演『有楽町で逢いましょう』上映、そして女優エロス特集
田坂監督作品『五番町夕霧楼』盛況age
映画保存のための特別事業費(平成21年度補正予算)によってよみがえった
島監督の『麗春花』。監督が父親役として出演もするという、大注目作。
男っぷりはさすがだが、台詞回しとか、ブランクを感じさせる? 終盤まで
存在感あり過ぎて、ファザコンヒロインにはチョイゴツな島崎雪子とか相手
役のいつもながらの伊豆肇の光を消してしまう。なぜか完全シルエットとな
って三宅邦子と対決する花井蘭子。中盤以降のお話しはわりと何でもありに
なるが、それでもペースを崩さない主演島監督。プリントはキズ、雑音多め。
小原譲治撮影、八田尚之 は原作、脚色のみならず製作も。 神保町シアターにて、島監督作品、若尾文子主演『処女受胎』復活
上映age 神保町シアターにて、田坂監督の『乳母車』。状態良好。
序盤の芦川が涙たたえながら赤ちゃん抱き上げるシーンが出色。彼女が
わりと出ずっぱりなので満足感が高い。終盤の赤ちゃんコンテスト(眼
鏡技炸裂)をはじめとする展開が、何だか強引&早急に感じたが、やは
りディレクターズカットはもっと長かったらしい。宇野終盤台詞も印象
的。高島屋屋上の背景とか、スクリーンプロセス多用でややしらけるが、
役者をリラックスさせるらしく、確かに裕のノビノビ演技はハンパない。 神保町シアターにて、島監督作品『猫は知っていた』上映age 考えてみると日本の映画監督で最初に国際映画祭で受賞したのは田坂だな。
第二次大戦直前に「五人の斥候兵」がベネチアで受賞した。 神保町シアター「戦争と文学」特集にて、『土と兵隊』上映age 神保町シアターにて、田坂監督作品『女中っ子』(142分)上映age 文芸座、岡田茂追悼特集にて、田坂監督作品『鮫』上映age
神保町シアターにて『女中ッ子』。モノクロスタンダード、終始キズ、雑音も
わりと観やすい16ミリプリント。 冒頭、左幸子が両手いっぱいに荷物抱えて、
上野駅で山手線に乗り換え伊福部サウンドが被さるシークエンスから、もう
素晴らしい。序盤は、人間が本来備えている生活力と善意をヒロインに託して
グイグイ押す。名場面の連射だが、それぞれ6〜7割の描写で切り上げ余韻を残
す鮮やかな巨匠演出。ラストも同様か。まだ緑深き世田谷。轟は貫禄たっぷり
でハマり、旦那の佐野サンもズバリ、秋田の雪道を夫婦で転がるように不肖の
息子迎えにくる短くないシーンが凄い。犬(名はチビ)も熱演。 キャメラ伊佐山、美術木村威夫。
タイトルバックに助監督の中平康が関与しているかどうか。
神保町シアターにて、島監督作品『幻の馬』週末上映age フィルムセンター香川京子特集にて、島監督作品『窓から飛び出せ』(香川本格
デビュー作)、『君と行くアメリカ航路』、『東京のヒロイン』(ヒロインはあ
くまで轟)、『上海帰りのリル』上映age ラピュタ阿佐ヶ谷、昭和流行作家原作特集にて、島監督作品、若尾主演、
『女めくら物語』上映age 誰がなんと言おうと鮫は傑作だ
駄作って言ってんのはどめくら フィルセンにて『君と行くアメリカ航路』。どうしようかとも思ったが、
達雄弾けるとの情報があり駆けつける。宇礼雄が例の誇張演技ながら、敵
役で出てきたのも嬉しかった。 シバイはギャグの部分も含め、ぎこちない
というのか、スレスレの独自の呼吸。それでも、達雄が香川と初めて出会
うシークエンスなんかは、戦前の輝きがまだ継続している?
『東京のヒロイン』の巨大ポスターが、ダンスホール、ガード下に貼られ
ているというお遊びに島マニアは感涙。 チラシでお断りがあったパートカ
ラー画面欠落クロミになるのは4箇所。灰田の歌い出し×2、暁テル子のそ
れ、水着ショー、要するにハイライトが欠けるので、ちょっとイライラ。 『窓から飛び出せ』モノクロスタンダード、キズやや多め。悪く言えば、
監督はマキノから貰い下げなテメエの肥えた女房を恥ずかし気もなく時代
錯誤のヒロインに起用しているし、プロデューサー(兼主演、原作)はブ
ラジルで痩せた農地をこの作品で自慢気に出している邸宅と交換で掴まさ
れるのも知らずノーテンキに自分のガキども出演させて夢想を展開しちゃ
っているのだが、同時代のゲージュツ志向作品の極北を行く、名作とか凡
作といったモノサシでは計れない島ワールドが全面展開。
「愛と合理によって平和は生まれる」が大マジな、この時代を濃厚に感じ
させる農林省&玉川学園後援?協賛?作品。笠原和夫が書生やってたとき
にベタ惚れしたという伝長男の美少年っぷりもじっくり観れる。
若き桂樹は大かつやく。岡村文子はやはりよい。香川京子本格デビュー作、
子どもたちの中でピッチャーやっているところがあまりにもかわいくって、
センター内のをじさんたちも、きゃあきゃあサン。 今度神保町シアターで上映される吐夢監督の『たそがれ酒場』はデジタル上映
らしいが、この前ヴェーラで上映された16ミリプリントよりは見た目キレイと
いうことなのか? 神保町シアター、女優エロス特集にて、島監督作品、山本富士子主演
『渇き』上映age
録画してる「渇き」鑑賞。
「夜の河」の二人がまた一緒にならないお話。
キャスティングにまるで意外性がなく、多少ベタついた二人をだらだらと見る映画。
川崎さんが山本さんとチュッチュしてました。 神シアにて『有楽町で逢いましょう』。アグファカラースタンダード、一部劣化
もほぼニュープリント。入りは80人強(定員99)で、日曜日とはいえ相変わらず
の島監督人気に驚嘆。 てっきり歌のヒットに便乗した作品だと思い込んでいた
が、そもそもが今は哀しきビッグカメラ、そごう東京進出のキャンペーンソング
とのことで、映画自体もタイアップとのこと。
中盤くらいまでは、わりと軽快な演出っぷり。夜行急行月光を上手く使って、東
西を結ぶ。嬉しいコメディアン色が強い山茶花含め全く笑えない喜劇的演出にウ
ケる客もあり。デパートとその中でのエスカレータ使ったファッションショー、
アメフトといったアタリで新鮮味を出そうとし、また若き浩&ひとみも時に眩し
いながら、お話しとしてあまりに平板すぎる。喧嘩友達パターンで京マチと菅原
がくっつく過程も大幅略の感。またまた北林のお婆ちゃん登場し、この前ほどで
はないが水準以上、シアター内を攫う。 高度経済成長期にさしかかる特有の息
吹は感じさせて好印象あり。 神保町シアター高峰追悼アンコール上映にて、島監督作品
『銀座カンカン娘』(デジタル)&『女性操縦法』(「グッドバイ」再公開短縮改題版)
上映age 神保町シアター、元祖三人娘特集にて、巨匠田坂監督にメロメロ(錦)
な名作『ちいさこべ』上映age 文芸座にて『陽のあたる坂道』。田坂長尺ワールドの大親分(210分)ゆえ
逃げ回っていたが、ようやく。上映開始後2時間半にて、おしっこ休憩。
「第二部」の字幕はあった。 轟夕紀子はやはり上手いのか? 山根寿子の母
ちゃんもイイ。裕との生母として初めての対面シーンの演出が凄過ぎて涙出
てくる。 すでに冒頭から石坂洋次郎無双シークエンス多々で、免疫が形成さ
れていない若い観客によってはアナフィラキシーで30分持たないか。
思っていること全部喋っちゃう脳ミソおぺろんモードながら、ユーモラスな
シーンには何度も場内から暖かい笑い。イヌネコ使いの巧みさは変わらず。
田坂作品ならではの悠久の時間が、この瀟洒な洋館や北原三枝の下宿アパー
ト(風呂なし)に流れている。 北原のキャラづくり成功、盟友・小杉勇の老
婦人科医も嬉しい。川内民夫はフレッシュなのかセコなのか。 芦川は信者に
とっても最高クラスの作品だろう。 しかし! やはり? 長い? 神保町シアター、ニュープリント化作品特集にて
『浪花の恋の物語』上映age
神保町シアターアツい男特集にて内田吐夢監督戦後復帰作品
『血槍富士』上映age シネマヴェーラ昭和文豪エロ特集2にて、田坂監督によるカルト大作
『鮫』(165分)1本立上映age 角川シネマ有楽町にて島監督作品『有楽町で逢いましょう』
『宇宙人東京に現る』『幻の馬』(ニュープリント)上映
age 『街の魂』という日活多摩川の作品のフィルムが岡山で発見された。
今地元のテレビのニュースでやってた。 田坂監督遺作の「スクラップ集団」をDVDでみた
このところ野村芳太郎、山田洋次、森崎東等、1960年代の松竹作品をよく見るが
格別の出来と感じた
日活はあまり見ないので寡聞にして田坂作品は初めてだった
渥美清、小沢昭一、三木のり平と役者も揃ってます
山さんこと露口茂もなかなかいいですよ