>>410 ●ヤクザのベンツ離れの裏事情

「レクサスをはじめ、トヨタのミニバンの『アルファード』『ヴェルファイア』など、ヤクザ業界にベンツ以外のクルマが増えているのは事実です。
しかし、それはヤクザ業界でベンツの人気が低下したということではありません」

そう語るのは、暴力団事情に詳しい“ヤクザ・コメンテーター”の上野友行氏だ。

暴力団対策法による取り締まり強化や山口組と神戸山口組の抗争の影響など、ヤクザに対する風当たりは、これまで以上に厳しいものになっている。
ヤクザがヤクザらしく振る舞えば、それだけリスクも高まるのだという。

「今の時代、ヤクザとわかったら、すぐに警察に職質(職務質問)を受けます。
いかにもヤクザといった感じのベンツよりも、
それ以外のクルマに乗るほうが職質を受けにくい。
そして、もうひとつは、親分衆が『堅気さん(一般人)たちに迷惑をかけないように』と指示していることもあります。

黒塗りのベンツが自宅近くの駐車場などに止まっていたら、
すぐにヤクザだとわかり、近所の住人はそれだけで恐怖を抱きます。今のヤクザは、会社や居酒屋を経営するなど、堅気の仕事で稼いでいる組員も少なくない。
そういう人間が、近所にヤクザであることを悟られないためには、一般の人と同じようなクルマに乗る必要があるのです」(上野氏)

ただし、定例会や冠婚葬祭などの「義理の場」は例外になるという。
それらヤクザ社会にとって重要な意味を持つ場においては、一般人の目をあまり気にせず、親分の送迎にベンツやセンチュリーを使うケースもあるという。

「しかし、それも『親分付き』といって、親分に24時間付いているような若い衆が親分を家まで送り、乗って帰ってくるだけです。
普段からベンツに乗っているわけではありません。
歌舞伎町にセンチュリーが多いのは、組事務所が集まっており、送迎の機会が多いからです」(同)