「異端か正統か」ではない

 教団名の改称で「基督教」の表記が無くなったことについて教団は「教会を中心とした宗教時代から、家庭を中心とした超宗教時代に入った」としている。しかし、信者の教化過程では依然として聖書を曲解した教典『原理講論』が使われている。キリスト教界にとって「世間が同教団をキリスト教の一派と見なしている」という〝誤解〟は看過できないものだ。

 ただし「キリスト教界内での異端問題」と「カルト問題」の混同は、事の本質を見誤ることになりかねない。統一協会は教祖・文鮮明をメシアと崇める教団である。当然、キリスト教界としては「偽メシアだ! 異端だ!」となる。イエス・キリスト以外を救済者として崇める教団は異端と見なされるからだ。だからといって「異端=カルト」ではない。「異端問題」と「カルト問題」は別個のものだ。

 韓国系の正統派キリスト教会の関係者は、統一協会や新天地などを「異端カルト」と呼称することが多い。摂理や新天地のように韓国系の新興宗教団体には統一協会の影響を受けたものがいくつもある。確かに、これら異端と言われる教団にカルトと指摘される団体が数多みられるのは事実だが「異端だから問題」なのではない。内部での深刻な人権侵害など「カルト被害」があるか否かということが重要な視点であり、そこを精査して問題を捉えないと、既成キリスト教団による統一協会批判は「キリスト教界の内輪もめ」との認識を一般社会から持たれてしまう懸念がある。

 桜田淳子の芸能界本格復帰の動きもあり、再び世間の注目を浴びる同教団。その動向を注意深く見ていく必要がある。(文中敬称略)