政治とキリスト教の癒着の背景

https://president.jp/articles/-/58188?page=2

スペインやポルトガルといった南欧諸国は、優秀な航海技術を武器に莫大な富を求めて海外征服をめざすことになる。彼らは、あらかじめ利権がぶつからないようにするために、ローマ教皇も交えてキリスト教以外の異教徒の世界を二分した。両国間における排他的な航海領域の設定と新発見地の領有や独占権については、一四九四年のトルデシリャス条約の締結によってルールが決定された。

すなわち、ベルデ岬諸島(アフリカ大陸最西端の岬西方の群島)の西沖の三七〇レグア(スペイン・ポルトガルで使用された距離単位、一レグアはポルトガルでは約六〇〇〇メートル)を通る経線を基準に、東側全域をポルトガル領、西側全域をスペイン領としたのである。今の常識からすればとんでもないことだが、両国によって勝手に未発見の諸国も含めて地球規模で領地が二分割されたのである。これをデマルカシオンとよぶ。

この条約によると、日本はポルトガル領となる予定だった。ポルトガル国王は、このような一方的な植民地化を正当化するために、ローマ教皇に働きかけて、新発見地に対するカトリック化を奨励し、保護する姿勢を示したのだ。