0747手ぶらの乞食
2019/09/02(月) 17:52:49.89ID:GwXtC4Ui小説「セミ男」
作.手ぶらの乞食
男は完全にセミの虜だった。
男はとある科学研究所で人造人間の研究をしていたが、彼は人間に興味がなかった。
彼の夢は喋るセミと語り合う事だ。
セミの名はスティーブ。「よう、スティーブ今朝は随分と早起きだね」
「やぁ、博士、喉が乾いた。モーニング樹液を頼む」
そんな事を夢見てセミの解剖を始めた。
「なんて事だ!声帯がない!」
セミは何かエラの様なものを擦り合わせて鳴いていたのだ。
セミの構造は人間のそれとはまるで違っていた。
「脳もなければ心臓もない!どうやって生きるんだ!この生きものは!」
男はその時、神を知った。
完