「北野恵宝、小田慈舟両大僧正に師事。」
(『変身の原理』昭和46年初版、著者略歴)

初版の『変身の原理』の桐山さんの経歴には、北野師と小田師に師事したとある。
これが小田師を騙してでも伝法を受けたかった理由です。
桐山さんは『変身の原理』で世にデビューするつもりだったし、実際にそうなった。
桐山さんは体裁や肩書きが大好きなのに、当時それが何もない。
密教に革命を起こすかのような口ぶりなのに、北野恵宝なんて密教界でも
誰も知らない人の弟子では格好がつかない。
念力の護摩でせっかくデビューする材料を確保したのに、
その本を飾る肩書きがない。
そこで桐山さんは誰か密教界で有名な人を利用できないか探したのでしょう。
だから、念力の護摩の後なのです。
それが八月の小田師による伝法講習会への参加です。

参加さえすれば、師事したと書ける、と桐山さんは踏んだが、
阿闍梨詐称がばれて追い出された。
普通の人なら恥じて反省するが、桐山さんは普通ではない。
逆に小田師を騙して取り入り、伝法を受けた。
出版までに間に合った!
そして、翌年の『変身の原理』で小田師に師事したと書くことができた。
密教界の著名な学僧に師事したことを権威に使い、
まるで小田師が念力の護摩を認めているかのように錯覚させ、
念力の護摩こそが本当の密教であるかのように見せかけた。
桐山さんの作戦はまんまと成功した。