>>704
本則

睦州、僧に問う、 「近離(きんり)いずれのところぞ?」。
僧すなわち喝す。

州云く、 「老僧、汝に一喝せらる」。
僧又喝す。

州云く、 「三喝四喝の後そもさん」。
僧無語。

州すなわち打って云く、 「この掠虚頭(らっきょとう)の漢(かん、おとこ)」。



睦州(ぼくじゅう):黄檗希運禅師の法嗣睦州道明禅師(780?〜877?)。
若い時代の臨済を策励したり、雲門文偃の脚をヘシ折ってまでして接得した人である。
親孝行の人で、陳尊宿と呼ばれ、名利を嫌い生涯韜晦して世に出なかった。
法系:六祖慧能→南嶽懐譲→馬祖道一 → 百丈懐海 →黄檗希運→睦州道明
掠虚頭(らっきょとう)の漢:たわけもの。

本則

僧が睦州和尚の処にやって来た。睦州和尚はその僧に聞いた、 「お前さん何処から来たのか?」。
すると僧は 「カーッ」と喝した。

睦州は言った、 「わしはお前さんに一喝されビックリしたのー。一本参ったわい」。
と僧の足下に落とし穴を掘った。僧はそれに気付かずまた 「カーッ」と喝した。

睦州は言った、 「お前さん、三喝四喝と喝の一つ憶えのようだな。喝の後はどうするんだい?」。
僧は黙ってしまった。

睦州は僧を打って言った、 「このたわけもの!」。