>>325-326
要するに、
あくまでも対機説法なんだということを理解しないとまったく話にならないのです。
これらのゴータマによる湖の中への投石や油の話というのは、
パラモン呪法を全権万能だと錯覚しているバラモン祭祀たちに対する諭と戒めの対機説法ですから。
つまり、如何に強力なバラモンの呪力であろうとも、物事にはできることとできないこととがあるということ。
生前の生き方と行為のすべてが死後の行き先を決定づける業報においては、
たとえバラモン呪力といえども直接的な作用はできないでしょう。

しかしながら、それでも死者供養という意味においては決して無駄ということではなくて、
ゴータマは善生経(シンガーラへの教え)の中で先祖供養について説き、
祖霊に対して適当な時々に供物を捧げなさいと教えています。
また、特定の祖霊に廻向することはできないとしながらも、
餓鬼地獄に堕ちている自分の祖霊を含めた餓鬼存在に対しては広く供養を届けることができるとしています。
そして当然、これらの供養の行為は善行として施者に功徳をもたらすものであるので実践されることを奨めています。
(藤本 晃著『パーリ四ニカーヤに説かれる先祖・施餓鬼供養』)
http://nbra.jp/publications/69/pdf/69_26.pdf

ゴータマによるバラモン呪法に対する禁止事項というのは直弟子である出家僧たちに対してのものであって、
その理由というは単純明快であって、自分の教える解脱成仏法であるところの
三十七菩提分法の修得実践に完全集中しなさいということ以外にない。
もちろん、バラモン呪法が単なる迷信に過ぎず効力が皆無という意味などではないから、勘違いしないように。
ゴータマのバラモン呪法の優れた効果を認める記述は『スッタニパータ』の458.509.568などに明らかです。
真言宗が修する加持護摩祈祷は、このパラモン呪法のホーマを継承したものであり、
彼らこそは、現代に蘇ったバラモン達そのものなのです。