そんな解説があった後にヨハネの誕生教会内を見学したのですが、中ではカトリック巡礼者による
ミサが行われており、そこでガイドは聖餐式の順序に関するトリビアを話してくれました。 キリスト教
において聖餐式は最後の晩餐の記述にあるように「パン→ワイン」という順序なのですが、ユダヤの
伝統ではまずワインを祝福して飲みその後にパンを祝福して食べます。しかしイエスが生きた1世紀
このパンとワインの順番が宗派によって違っていたのです。パリサイ派は「ワイン→パン」だったのですが
洗礼者ヨハネが関係していたと考えられ死海付近の荒野で発展したエッセネ派は共同体で食事を
する際、イエスと同様、最初にパンを食べていました。この「パン→ワイン」という順で祝福していたのは
死海文書からも分かっています。ですので、ヨハネからエッセネ派の影響を受けたイエスは、おそらくパ
ン→ワインという同派の伝統を踏襲しそれが後に聖餐式になっていったのでは、とガイドが話してくれました。