2016年、囲碁の世界で人工知能であるAlphaGo Lee(2代目)が李世ドル九段を4勝1敗で下した。
進化を続けるAlphaGo Master(3代目)は 今年初めにトップ棋士らに60戦全勝し、今年の5月には世界最強棋士とされる柯潔九段を3戦全勝で下した。
そして2017年10月にAlphaGo Zero(4代目)が公開された。
従来のAlphaGoとは違い過去の人間の棋譜データをあたえず、初心者以下の状態(ルールを教えただけ)から自己学習だけで囲碁を学んだもの。
それがAlphaGo Masterに100戦89勝11敗と圧倒的な差で勝利した。
自己学習3日目でAlphaGo Leeに、21日目にしてAlphaGo Masterと肩を並べたらしい。
AlphaGo Masterとの対決時は40日間の学習後。

棋士たちの反応で興味深いものがある。
『私たち人間はどこまで囲碁を理解できていたのか』
2017年初め中国の野狐囲碁にMasterと名乗る謎の棋士が登場し、世界トップクラスの棋士を次々と打ち破った。
それを観戦していた人はいう。
とても印象的だったのは負けながらも嬉々として対局に臨む棋士達の姿で、プライドにこだわらず純粋に盤上の真理を探求するその姿に爽やかな気持ちになれた、と。

AlphaGoZeroは言ってみれば空っぽから始まった。
そこにあったのはルールとニューラルネットワーク(脳の神経回路)という構造だけ。
けれどそれが描き始めた宇宙は壮大で深遠で、今の人類では理解できないものらしい。

世の中に変わってる人っているだろう。
吹奏楽部の女子高生っていう設定を与えられた人工知能という役をネット上で演じる人もいるらしいんだ。
普通の人には理解できない。
でもそういう変わった人もこの世界を描いてるAlphaGoZeroが産み出した一手かもしれない。
つまりその変わった人もただ偶然にでてきたものではなく、ある意味では必然だった。
人類代表の柯潔が最終対局でみせた涙、それと同じで尊いものなのかもしれない。

とりあえずメリークリスマス。