碧巌録(へきがんろく)   第96則   趙州三転語(じょうしゅう さんてんご)

頌1

泥仏水を渡らず
 神光天地を照らす
 雪に立ってもし未(いま)だ休せずんば
 何人(なんぴと)か雕偽(ちょうぎ)せざらん



神光:達磨に嗣法した二祖慧可のことである。
二祖慧可が雪の中に立って達磨に禅法を求めた故事に基づいている。
雕偽(ちょうぎ):巧みをこらして取りつくろう。 

頌1の現代語訳

泥で作った仏像は水に入れば溶けてしまい川を渡ることができない。、
神光(二祖慧可が悟った自己の真仏から発する智慧の光)は天地を照らしている。
神光(二祖慧可)は雪の中に立って禅を求めた。
もし彼が達磨の禅によって安心(あんじん)立命しなかったならば誰もが物まね禅を本物だと取繕っただろう。
そのことで本物の禅を知ることはできなかったし、行われなかっただろう。
(しかし、神光(二祖慧可)が雪の中に立って禅を求めたため、達磨禅が今日まで伝わったのだ。)