碧巌録(へきがんろく)  第92則    世尊陞座(せそん しんぞ)世尊、ある日座に陞 (のぼ) る

本則

世尊、一日(あるひ)陞座す。
文殊(もんじゅ)白槌(びゃくつい)して云く、「諦観(ていかん)法王法、法王法如是(にょぜ)」。
 世尊、便(すなわ)ち下座。
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注:
陞座(しょうざ):座に昇る。
白槌する:列席者の注意を喚起するため槌を叩いて合図する。
諦観法王法、法王法如是」:ブッダの説法が終わった時に唱える文句。
「明らかに法王(ブッダ)の説いた法を観じなさい。
法王の法は目前に見た通りのものです」という意味の言葉である。
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本則:
ブッダ(世尊)がある日、説法の座に登った。
すると文殊が槌を叩いて言った、
「明らかに法王(ブッダ)の説いた法を観じなさい。
法王の法は目前に見た通りのものです」。
 ブッダはさっさと下座した。

白槌 (びゃくつい): 集まった衆に槌を叩いて説法の始まりを告げる。
諦観 (ていかん): 究極を見極める、悟りを開く

本文 (現代訳語)
世尊、一日 (あるひ) 座に陞 (のぼ)る。
文殊、白槌 (びゃくつい) して云く、
『法王の法を諦観 (ていかん) せよ、法王の法は是 (かく) の如し』と。
世尊、便ち座を下りる。

〇 こころをもってこころに伝える。
  見える事が無い。

  わたしは、片手の人が叩く拍手の音を聞いた。

  ここでは文殊が板を叩いた。
  
  みんなが、その音を聞いた。

  それで説法は終わり、世尊は説法の座を降りた。