>>672
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本則
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徳山宣鑑(せんかん)禅師、イ山霊祐(れいゆう)禅師に到る。
複子(ふくす:袈裟文庫)を挟んで法堂上を東より西に過(わた)り西より東に過(わた)り顧視して、「無、無」と云って便ち出ず。雪竇著語して云く、「勘破し了(おわ)れり」。
 徳山、門首に至って却って云く、「また早々にするはことを得(よか)からず」と。
便ち威儀を具して再び入って相見す。
イ山坐する次(つい)で徳山坐具を提起して云く、「和尚」。
イ山払子(ほっす)をとらんと擬(す)。
徳山便(すなわ)ち喝して払袖(ほっしゅう)して出ず。

雪竇(せっちょう)著語(じゃくご)して云く、「勘破(かんぱ:見抜く)し了(おわ)れり」。

徳山法堂を背却して草履をつけて便ち行く。 
イ山晩に至って首座(しゅそ)に問う、「適来(せきらい)の新到(しんとう)さきほどの新参者) いずれの処にか在る」。
首座云く、「当時法堂を背却して草履をつけて出で去れり」。
イ山曰く、「この子、巳後(いご)、孤峰頂上に向って草庵を盤結して仏を呵し祖を罵り去ることあらん」。