碧巌録(へきがんろく) 第95則? 長慶三毒  
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垂示:
有仏の処、住することを得ざれ。住着(執着)すれば頭角生ず。
試みに挙す看よ。

本則
兄弟子、長慶慧稜禅師、ある時云く、「むしろ阿羅漢に三毒ありとは説くとも、如来に二種の語(方便と真実という二種の言葉) ありと説かじ。如来に語なしとはいわず、ただこれ二種の語なし」。
 
弟弟子、保福従展禅師云く、「そもさんかこれ如来の語?」。
 
慶云く、「聾人いかでか聞くことを得ん?」。

保福云く、「まことに知んぬ、汝が第二頭に向って言うことを」。

慶云く、「そもさんかこれ如来の語?」。 
保福云く、「喫茶去(きっさこ)」。 
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本則:
長慶はある時言った、「阿羅漢には貧瞋痴の三毒が残っていることがあるかも知れない。 しかし、如来には二種類(真実と方便という)の言葉はない。如来は語言三昧の一枚舌であり、二枚舌はない」。 
保福は聞いた、「じゃあ、如来の言葉(語)とは一体どんなものだ?」。 
長慶は云った、「お前のような聾人に言っても無駄だよ?」。 
保福は云った、「それ、お前さんは第二義に落ちたじゃないか(本当は如来の言葉(語)とはどんなものか知らんのだろう)」。 
長慶は云った、「では貴公は如来の語は一体何だと言うのか?」。 
保福は云った、「まあ、お茶でも召し上がりください」。

⇒ 兄弟弟子のお二人が、問い答えている。
  周りには、修行僧たちがこの問答を一心不乱に聞いているのだろう。