私が代理として初めて訪れた取引先での話である。
受付で担当者に会いたい旨を伝えると、
なぜかそのビルの地下駐車場に案内された。
「こちらで少々お待ちください。」
(こんなところでかよ)
どういうことか状況が飲み込めなかった。
しばらくすると奥から車が左折してこちらへ向かって来る。
黒塗りのセンチュリーだった。
私の前で停車すると、運転手が降りてきて
後部座席の扉を開けた。
降りてきたのはポマードで髪を後ろになでつけた
恰幅のよい男だった。
その男こそポッたんその人だったのである。

『私とポッたん』