三十七菩提分法の五根五力で説明する。
五根五力の五つとは、信、念、勤、定、慧のこと。
これら五つは、すべてがバランスよく開発されていく必要がある。
下図のように、中央に位置する念が高まると、全体が高まるようになってる。

   慧
   |
勤―念―定
   |
   信

信だけがつよいと、慧が弱まる。
慧だけがつよいと、信が弱まる。
勤だけがつよいと、定が弱まる。
そういう対応関係になっている。

正法においては、これらすべてが実践されるが、
末法においては、総合的な実践が難しいので、信と念だけの念仏宗や
唱題行という方便が編み出されたものと思う。

一方で、中観派の多くが陥っているのが慧が強すぎる問題。
龍樹尊者がそうであったように、またチベット仏教の僧侶が語るように、
智慧には分別智の部分と、無分別智の部分と、両方がある。

智慧だけ、しかも分別智のところ”だけ”をやって、そこが終着点だと思って
しまっているのが上の人の現状。

しかも慧力ではなく、慧根の段階なので、まだ本当には慧はない。
慧が顕現してくるのは、定根が定力に変わってから。
つまり、三昧に到達した後。