碧巌録(へきがんろく)  第30則?   趙州大蘿葡頭(じょうしゅう だい らふとう)   
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本則:
久参の僧、趙州に問う、
「承(うけたまわ)り聞く、和尚親しく南泉(なんぜん)に見(まみ)ゆと。是なりや、否や?」。

州云く、
「鎮州に大蘿葡頭(らふとう)「大きな大根」を出(いだ)す」。
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本則:
ある久参の僧が、趙州に聞いた、
「和尚は南泉禅師に禅を学んだと承り聞きますが、本当でしょうか?」。真理さとりとは、なんですか。

趙州は言った、
「鎮州に大きな大根がとれるわい」。


○ 昨年は夏が長く、ほとんど空きが無くて、すぐ冬になったようだった。
それで、野菜類が高騰している。
12月いっぱいで供給が追い付いて値下がりし始める、だろうという事だった。
しかし、正月明けの初セリでも、一向に値下がりの様子が無い。
わたしは陶器製の宴席が出る漬物気を持っているので、大根の浅漬けを作るのが楽しみである。
塩を振っただけの浅漬けである。
大根と言うのは大したもので付けても失敗が無い。
しかも食べて食い飽きない。
消化にも良い。

さて、わたしは大根と聞けば浅漬けと単純な反応をするだけだが、さとりは大根だぜ、と趙州和尚は、言い放つ。
そうっだったのか、わたしと大根は食べて一体になっているので、これとそれ、と言うように二つではない。
二つではないが、一の如し、だ。
小五の時、死が怖くて毎夜布団をかぶって震えていたのだが、橋を渡っていた時、胸に黄金の仏の立像’りゅうぞう)を見て、大安心して眠れるようになり、30歳を過ぎるまで忘れていた。
その金の立像とこの大根は同じものである。
臨済に まみゆ。