>>58
少し質問を替えさせてください。
ルカの並行箇所ではεισηλθεν εις Καφαρναουμとなっており、
多数の研究者がこちらの方が元来のQに近いと考えています。
独立属格自体は一般的にはルカの方が多用しますので、わざわざマタイがこの箇所を独立属格
に変えているというのは意味があると思います。その意味を考える必要があります。

マタイ8,1; 5と、マタイは独立属格を使用しますが(14節は分詞の主格)、
RSV、NRSV、LUTなどが、これらの箇所を「時」の意味で解釈しています
(8,1の訳の時はご指摘するのを失念していましたが)。

when(als)〜と訳を統一するのは、一連のペリコーペのつながりを、
時という表題的な導入で明示しており、優れた訳であると小生は個人的に
思います(ルカはこれらのペリコーペを一連の物語として配列していない)。

文法の基本原則に従うことも重要ではありますが、文脈に応じて、という訳し方も、
時には必要でしょう。