妄想の弊害

その妄想に対して否定的な現実を敵視したり、妄想を認めない他人に攻撃的になることがある。ときには暴力に結びつくこともある。
しかし (妄想状態に陥ることは) 安全装置であるとはいえ、病的な方法であることには間違いなく、治療が必要である。

そして、本人にとっては安全装置であったが故に、治療の途中で激しい抵抗に遭うことは、珍しくない。
それなりに安住の地であった妄想の世界から、現実の世界を直視することは、苦しみを伴うのである。

ここでいかに本人のペースを尊重しつつ、希望や安心を与えつつ、現実と折り合いをつけてもらうかが、精神科医や援助者の力量が
問われるところである。