従容録(しょうようろく)   第三十一則 雲門露柱 (うんもんろちゅう)

 衆に示して云(いわ)く、向上の一機、鶴霄漢に沖る(ひいる、空高く上る)。
当陽の一路、鷂(はやぶさ)新羅を過ぐ。
直饒ひ眼流星に似たるも、未だ口扁擔の如くなるを免(まぬが)れず。
且(すべから)く道(い)へ是れ何の宗旨ぞ。

挙(こ)す、
雲門垂語(すいご)して云く、古仏と露柱(ろちゅう)と相交(あいまじ)はる。是れ第幾機(これはなんばんめ)ぞ。
衆無語。
自ら代(かわ)って云く、南山に雲を起こし、北山に雨を下(くだ)す。


○ ほとけとは、つゆのはしら

つゆばしらとは、ほとけ。

相交わるとは、2は2ではない、1の如し。

雨とは、水の循環であり、地に降れば、田畑を潤し、動植物の命をつなぎ、川へ流れ込み、海に注ぎ、天に上る。