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春の爽やかな風を感じながら、桜並木の下を自転車で走り抜ける春という季節は、本当に不思議だ短い春休みが終わり、これから新学期が始まる
という憂鬱な朝なのに、春というだけでそんな鬱屈した気分は吹き飛んでしまうやっぱり俺は、この季節が一番好きだわくわくするような
浮き立つ気持ちが抑えられない二年になるとクラス替えがあるので、そのせいかもしれないいち早く自分のクラスを確認したくて
いつもより三十分早く家を飛び出してきた学校が好きなわけじゃないけれど、この日だけは特別だ緩やかな下り坂に差し掛かり、ペダルから足を離したこの下り坂を越えたら
学校が見えてくるブレーキに手をかけ、桜の花びらが舞い落ちる中、勢いよく坂を下っていく心地良い風を全身に浴び、一気に駆け下りる軽くブレーキを握り
角を曲がる思わず声が漏れた曲がった先に俺を待っていたのは、一台の軽トラックだった運転席の禿頭とくとうのおっさんが目を見開くのがはっきりと見えた
俺は力いっぱいブレーキを握りしめたしかし間に合わず、正面から軽トラックに衝突した激しい衝撃の後、俺の身体は投げ出され、視界がぐるぐると回り、自由を奪われたまま
地面に叩きつけられたそれは一瞬の出来事だった何が起きたのか、考えることもできない身体はピクリとも動かせない誰かの叫び声が頭に響いた
一匹の黒い猫が、遠くで欠伸をしているのが見えたそこで俺の意識は途絶えた