山口百恵は美空ひばりをどう見ていたのか。

筑紫…あなたは、わりと早い時期から、ひばりの次の女王候補という言い方をされていた。
一方は横浜、一方は横須賀という、わりと共通の雰囲気から出て来て、実力で一時代を築いた。
もちろんキャラクターは全く違うけれども、それは時代の違いであって、本質は意外と似ているんじゃないかしら。

百恵…はっきり言って、似てほしくないですね。私はあんまり好きじゃない−というと非常に失礼ですけどね。
たとえ仕事をしていてもしていなくても、あそこまで孤独になってしまいたくない。
私はこういう仕事をしていて、自分が孤独だと感じることも多いんですけど、どこかでまだ救われる部分があるでしょう。
ステージに立っていてもひとりじゃないし、バンドの皆さんもいる。仲間と呼べる人間が一緒にいてくれるという…。
それがなかったら、きっともっと簡単にやめちゃって、どこかへ行っちゃうんじゃないかという気がする。
誰も私を知らないところへ行きたいとか、バカなことを言い出すんじゃないかなと思います。

筑紫哲也 著<暴走の光景〜百恵の最後のインタビュー〜>より。