幼少期における高い自己意識と誇大的な感覚はナルシシズムには特徴的なものであり、
正常な発達の一部である。概して児童は、現実の自分と、自己に関して
非現実的な視点の元となる理想自己との間にある違いを理解できない。
8歳を過ぎると、自己意識にはポジティブなものとネガティブなものの両方が存在し、
同年代の友人との比較を基盤にして発達し始め、より現実的なものになる。
自己意識が非現実的なままで留まる原因として二つの要素が挙げられており、
機能不全の交流様式として、親が子に対して過度の注意を向けること、
あるいは注意が過度に不足していることのいずれかが挙げられる。
その子どもは注意もしくはケアの不足により生じた自己の欠損を、
誇大的な自我意識という手段で埋め合わせようとするだろう。
力動的な児童精神科医の多くは、自己愛性パーソナリティ障害は
学童期までには同定できるという。
また幼児期の不安定な養育は独りでいられる能力の確立を阻害し、
安心して一人でいること(孤独)を楽しんだり、
一人でくつろぐことを困難にする傾向がある。