古代ローマの博物学者であるプリニウスは、
コウモリのことを「翼持つネズミ」と呼び、
鳥類に分類していた。

江戸時代、小野蘭山の『本草綱目啓蒙』でも、
「かはほり」(コウモリ)はムササビと共に
鳥類に分類されている。

近代分類学では哺乳類に分類されたが、
その始祖と言うべきカール・フォン・リンネは、
主にオオコウモリの形態からコウモリを霊長類に分類した。
その見解が否定されて後も、霊長目(サル目)などと共に
主獣類として分類されていた。

オオコウモリが霊長類に近いという説はその後もあり、1986年
「ココウモリとオオコウモリでは、脳と視神経の接続の仕方がまったく異なり、
 オオコウモリのそれは霊長目および皮翼目(ヒヨケザル目)と同一で、
 他の哺乳類には見られない独特のものである」
ことを主な根拠に、
「ココウモリはトガリネズミ目から進化し、
 オオコウモリはそれより後に霊長目から進化した」
という、コウモリ類2系統説が提唱された。
(続く)