>>271 >>272 補足

(引用開始)
 最後に左逆行列と右逆行列が存在すればそれらは一致し,したがって,逆行列はただ
1 通りに定まることを示しましょう.X は A の左逆行列,Y は A の右逆行列だとすると,
XA = I, AY = I .
このとき,行列の積の結合則 (AB)C = A(BC) と単位行列の性質 IA = AI = A より,
X = XI = X(AY) = (XA)Y = IY = Y.
よって,X = Y,したがって,XA = AX = I が成り立ちます.

逆行列の性質
AA-1 = A-1A = E
実際,AX = E のとき,XY = E なる Y の存在を仮定する。
XA = XAE = XA(XY ) = X(AX)Y = XEY = XY = E
したがって,AX = E かつ XY = E なる Y が存在するならば,XA = E
これは,右逆行列が存在するならば,それは左逆行列も存在して一致するという,逆行列
の性質の証明には不十分である。A に対する X の存在は仮定しているが,それだけで X に
対する Y の存在がいえないからである。
(引用終り)

ここ
重要変形テク
1)X = XI = X(AY) = (XA)Y = IY = Y.
 同じだが
 X = XE = X(AY) = (XA)Y = EY = Y.
2)A = XAE = XA(XY ) = X(AX)Y = XEY = XY = E

さて
行列では、AX = E のとき,XAを考えると
XA=XEA=X(AX)A=X(AX)A=(XA)(XA)=(XA)^2
これから
(XA)^2-XA=0(零行列)
(XA)(XA-E)=0
Xが零因子でなく、従って、XAが零因子であることを認めると、
XA-E=0より
XA=E 成立(途中、結合則と分配則などを使った)

この証明は、行列だから可能です
一般の代数系では、できない。(下記、松本 眞 広島大などご参照)

なので、群では、左逆元と右逆元との存在を仮定し(それは即ち、モノイドでは一致するが)、それらを公理として与えるのです(松本 眞 広島大などご参照)

つづく