>>29 つづき

http://www.geocities.jp/ikuro_kotaro/koramu/gendai2.htm
現代研究者事情(PARTU)
(抜粋)
 大学は独創性の高い研究をめざすための研究および教育機関と位置づけられていますが、最近の大学ではどちらも有効に機能していないことが指摘され、半官半民化構想が打ち出されている昨今です。そこで、パートUでは大学における最近の研究に焦点を定めて問題点をいくつか洗い出してみることにしました。
深刻な問題を話題にしているのですが、大風呂敷を広げて正面切って論ずるというよりも雑談風・業界物語風に書いてみました。その中で現在の科学や科学者がおかれている状況を多少とも感じて頂けたら幸いです。

<ガセネタよさらば>(略)

<大学院生はつらいよ>(略)

<質より量がものをいい>
 私は大学院生の頃には研究の最終目的は良い研究をすることで、報告文はその結果として書くのであると思っていました。ところが、数年もしないうちに、論文というのは宣伝であって、サイエンティストゲームで生き延びるためには効果的な宣伝を続けなければならないのだと知りました。

 憎まれ口かもしれませんが、大学では誤った業績主義、すなわち質より量をめざす論文の粗製濫造的生産活動に過剰な価値を与えているために独創性は阻まれ、学問の細分化を促進することによって学問そのものの希薄化を招く風土と化し、結果として大学の没落を加速させているという深刻な危機感、悲観的な意見もあることは事実です。
まことに、耳が痛くなるような話です。

 私の在籍した医学分野に限ってのことかもしれませんが、大学の研究者たちは最先端と呼ばれる研究分野に関わっていないと乗り遅れる不安にかられるらしいし、実際、先端研究と銘打たないと政府や企業の援助も受けられません。
そのため、最近では時代の流れに沿った華やかな研究のみをすればよいという考えが浸透し、肝心のアイデアやシナリオを欠いた表層的、短期的、場当たり的、近視眼的で上すべりがちな研究におわれて、学問自身からも疎外された論文生産機械になっていると表現してもよいでしょう。

つづく