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追加資料
http://www.ailab.t.u-tokyo.ac.jp/horiKNC/representation_units/9
Title: 工学と理学の違い 堀 浩一 (東京大学) コメント返信より 2011
(抜粋)
高校生や大学教養課程の学生の皆さんの中には、工学部に進もうか理学部に進もうかと迷っていらっしゃる方も少なくないことでしょう。 (私自身は、小学生の頃からラジオや無線機を作ってはこわすのを楽しむ無線少年でしたので迷わず工学部に進学したのですが、)私の考える工学と理学の違いを書いてみましょう。ただし、あくまでも私見です。

工学と理学の最大の違いは、学問のめざすところの究極の目標の違いにあります。

ややおおげさな言い方になるかもしれませんが、工学の目標は人類の幸福、理学の目標は真理の探求です。

人工知能システムについての感想の中で、高機能の道具をどのように使っていくかを考えることが重要だ、と書きましたが、さらには、望ましくない使われ方、間違った使われ方が、そもそも不可能になるように設計することも、あわせて考えていく必要があります。

そういう意味では、工学の研究と法学の研究とは共通するところがあって、工学の先生と法学の先生とは、案外、気が合うのです。実際、人工知能の研究においても、法学の先生と工学の先生との共同研究が行われていたりします。逆に、同じ理科系でも、工学の研究者と理学の研究者では意外に気が合わなくて驚くことも少なくありません。

追記 2014年2月22日:
堀浩一: 人工知能研究の方法, 人工知能学会誌, Vol. 28, No. 5, pp. 689-694 (2013).
という解説記事の中では、「文明と文化」、「科学と技術」などという章をもうけて、かなり詳しく書かせていただきました。 残念ながらこの解説記事のcopyrightは人工知能学会が持っているのでこのサイトには載せておりませんが、ざっと次のようなことを書きました。

さらに追記 2014年10月17日:
Theodore von Karmanの`Scientists study the world as it is; engineers create the world that has never been.’
http://www.facebook.com/IEEE.org/photos/a.176108879110422.62121.176104589110851/738965952824709/
ということばもいいですね。

つづく