>>474 関連

https://www.math.tohoku.ac.jp/~kuroki/Articles/sheaf_no_hanashi.txt
(黒木 玄 (くろき げん))
Subject: 層の話
Organization: 東北大学理学部数学教室 [kuroki@math.tohoku.ac.jp] (7-3221)
Until: 1995/05/30
(抜粋)
「層 (= sheaf = faisceau)」の話をせよと言われても、層の言葉はあまりに
も基本的過ぎるので説明するのが大変です。「層」の例を挙げよという要求は、
ほとんど「集合」の例を挙げよという要求にかなり近い感じがします。

さてどうしましょう?どうしたら良いかわからないので、歴史的にも(加群の)
層の理論の発展の motivation の一つになったと思われる Cousin (クザン)の
問題を例に説明したいと思います。実は、多変数函数論におけるクザンの問題
には第1と第2があるのですが、ここでは第1問題を1変数複素函数の場合に限っ
て説明することにします。

(ここで、層(sheaf)やら芽(germ)やら意味ありげな言葉遣いが出てきますが、
どうしてそのような言い方をするかは、数学的にはどうでも良いことなので省
略します。他にも茎(stalk)という言葉もあるのですが、この辺の名前の付け
方は個人的には大変良いものだと感じています。)

要するに、正則函数や有理型函数の層を考えるということは、複素平面の一部
分(開集合を考える)のみで定義されている正則函数や有理型函数も考えるとい
うことに他ならないのです。単にこれだけのことです。

層のコホモロジーの理論があるからこそ、層の理論は有用である
と言えます。

つづく