>>226 関連

http://mathsoc.jp/meeting/kikaku/2010aki/2010_aki_ukai-p.pdf
鵜飼 正二(東工大) ボルツマン方程式の研究 --過去と未来-- 日本数学会・2010
(抜粋)
ボルツマン方程式はL.ボルツマンが1872年に導いた非平衡希薄気体の
運動方程式である.彼の目的は当時定式化が完成した熱力学をニュート
ン力学により基礎付けることにあった.

当時は既に全ての物理現象は単一の基本原理により記述されね
ばならないという信念(principle of the first principle)が広く受け入れら
れており、熱力学をニュートン力学に基づいて構築しようという試みは
ごく自然なものであった.

ボルツマンの出発点は気体分子運動論である.これは気体が互いに衝
突を繰り返している多数の粒子からなり,気体の巨視的性質はその相対
的な運動で説明が出来るとするものである.このアイデアは18世紀に既
に萌芽が見られるが,19世紀に入り原子の存在こそまだ実証されていな
かったが原子論が新しいパラダイムとして認知され,熱は粒子の運動に
他ならないという熱運動論が広く支持されるようになるに従い説得力を
持つようになっていた.

つづく