体 K 上のベクトル空間 V から ベクトル空間 V' への線形写像 f が与えられたとき、
Vの底B={v_1,v_2,・・・,v_n} 、V'の底B'={v'_1,v'_2,・・・,v'_m}を定めるごとに、
f(v_j)達 は v'_i 達の線形結合で表されるので、それをm×n行列と横ベクトルの積の形を借りて
(f(v_1),f(v_2),・・・,f(v_n))=(v'_1,v'_2,・・・,v'_m)(A(f)_[i,j]) ここに 1≦i≦m、1≦j≦n A(f)_[i,j]∈K と書くことで
行列 (A(f)_[i,j]) が定まる。
このとき、Vの元 v=a_1*v_1+a_2*v_2+・・・+a_n*v_n に対して
f(v)=b_1*v'_1+b_2*v'_2+・・・+b_m*v'_m とすれば
f(v)=a_1*f(v_1)+a_2*f(v_2)+・・・+a_n*f(v_n)
  =(f(v_1),f(v_2),・・・,f(v_n)*(a_1,a_2,・・・,a_n)^t
  =(v'_1,v'_2,・・・,v'_m)(A(f)_[i,j])(a_1,a_2,・・・,a_n)^t
なので
(b_1,b_2,・・・,b_m)^t=(A(f)_[i,j])(a_1,a_2,・・・,a_n)^t 
となる。

当然ながら、B、B' を取り直せば、行列 (A(f)_[i,j]) は異なるものになる。
これが示すとおり、fに対する表現行列とは、底B、B'を定めることで初めて定まる概念である。

逆に、m×n行列 A=(A_[i,j]) が与えられたとき
V、V'、においてVの底B={v_1,v_2,・・・,v_n} 、V'の底B'={v'_1,v'_2,・・・,v'_m}を取ると、
Vの元v=a_1*v_1+a_2*v_2+・・・+a_n*v_n に対して
(b_1,b_2,・・・,b_m)^t=(A_[i,j])(a_1,a_2,・・・,a_n)^t によって定まる
v'=b_1*v'_1+b_2*v'_2+・・・+b_m*v'_m を対応させる VからV'への写像 v|→v' を f(A) とすれば
f(A) は V から V' への線形写像になる。

当然ながら、B、B' を取り直せば、線形写像 f(A) は異なるものになる。
これが示すとおり、行列に対する線形写像とは、底B、B'を定めることで初めて定まる概念である。