中島みゆきの名曲
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0001中島みゆきの名曲
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2023/03/08(水) 15:22:44.87ID:paTFedZ1
中島みゆきの名曲から物語(ストーリー)を作る
0839ジョン・スミス
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2024/01/10(水) 18:13:38.50ID:pjinx8tn
「人生の素人」

 うちのばあちゃんは買い物帰りの途中、
 チャリンコに乗った中学生DQNのひったくりに抜かれざまバックを掴まれた!

 日頃から野良仕事を趣味として歳の割に無類の体力を誇るうちのばあちゃんは
  咄嗟に掴まれたバックを強靭な握力と腕力でがっちりホールドした。

  するとチャリンコに乗っていた中学生DQNの方が
       反動で地面に強く叩きつけられ右手を骨折したと言う。

後で連絡してくれた通行人の話によると「危ねー だろがぁ、、、 ババアー!!! 
おぉぉ、、、 痛てーーなー!!! 痛てて...」と怒鳴りながら泣いていたと言う。


 その後、連絡した通行人と駆け付けたお巡りさんによって連行された。


 警察署に中学生DQNの両親が呼ばれていた。
 若い母親は、うちのばあちゃんを悪者扱いし罵声を浴びせている最中だった。

「うちの子に怪我をさせた。治療費を払え!」と物凄い剣幕で捲し立てていた。

 警察から連絡を受けて、ばあちゃんを迎えに来ていた俺は、
       その無茶苦茶なことを言う母親に殴りかかりそうになった。

 そんな俺をたしなめたばあちゃんは「怪我したんは、可哀想だが、本当に
  可哀想なんは、人のモノを盗んだらいけんって、ことすら親から教えて

 もらえんかったこの子の人生や、今からでも遅くはない。親子で頑張って、
  まともな人間にならんといけんよ」と優しい口調で論じた。

 母親が何か、反論しそうな強い態度を見せようとしたら、親父が出て来て、
目の前で、いきなりその母親と息子を殴り、その親父は泣きながら土下座をした。

「こんな息子に育てた俺らが悪い! どうか、許してくれんか? こいつ(母親)
 みたいに、幾つになっても、大人になれんもんがいる。そんな大人になれん

 もんがガキを育てるから、ろくなガキに育たん! どうか許してくれ !!!」
  と何度も土下座して、母親と息子の頭を下げさせていた。


 ばあちゃん曰く「聖人君子も、完璧な大人もいない。皆、人生は素人につき、
 生きていること自体、学びやと思います。それに気づいたら、それでいいと
 思います。あなたの気持ちは分かりました。どうか、頭をお上げください」
0840ジョン・スミス
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2024/01/11(木) 18:43:10.42ID:dQ6jV6/i
「粉雪は忘れ薬」

 ‐‐‐ 風が冷たいプラットフォーム... 。
  ‐ もうすぐしたら電車がやって来る…
― 電車を待つのは、私を含めて親子連れなど8人ほど...

 ー 空を見上げると、粉雪。。。 粉雪が舞っている。。。
  。。。 儚いくらいの雪の結晶 。。。。。。。。。
。粉雪が舞い落ちてゆく。   。  。 。 。。。


 幼い子供たちが、「ゆきだ! ゆきだぁ〜!!」と燥いでいた。


…その小さな手のひらに包まれる。。。 子供たちが、それを私の方に差し出した!
「ねぇ、おねえさん! これみて !!!  ゆきだよ!!」私は「どれ、見せて」

でも、 ‐‐‐覗いて見ても、そこにあるのはただの水‐‐‐‐‐‐

「ああ... とけちゃった!」と肩を落とし、ガッカリする子供たち。
せっかく捕まえたのにと、呟きながら水になったそれを見つめている。

ふと、その子が顔を上げた。「ねぇ、おねえさん!」
「なあに?」…急に話しかけられて、慌ててニッコリと笑顔を作る…

ちょっと、わざとらしくなってしまったかもしれない。
無理やり作った笑顔も、その子の無邪気な表情を見れば、自然と心から笑えて来る。


―――今日、この駅から私の新たな一日が始まる。
そう思うと、この見慣れた景色が、なんだか新鮮に感じられる………

‐少し前に、売店で買ったミルクティー缶は、その温かみをまだ保っていた。
‐握ったその温かみが、私の心をそっと慰める………

…覚えておこうとしないのに、何かのはずみで思い出しては泣ける………
      。。。粉雪は忘れ薬。。。。。。。。。
  忘れなけりゃならないことを、忘れながら人は生きている。


  ――― すべての物事には意味があるのかもしれない ―――


… 空を見上げると、まだ、粉雪は空から舞い落ちてくる 。。。。。。。。。
 ...ほんのわずかな雲の隙間から、小さな光が顔を覗かせている...

  。。。 降り続く、粉雪を見つめながら私は電車に乗った 。。。
   覚えておこうとしないのに 何かのはずみで思い出して泣ける
      。。。粉雪はすべてを忘れさせてくれる。。。


   …粉雪は忘れ薬 すべての心の上に積もるよ。。。。。。。。。
0841ジョン・スミス
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2024/01/12(金) 18:34:59.95ID:d4pQrD+Y
「北の国の習い」

 。。。こんなにたくさんの雪は何年ぶりだろう。。。。。。。。。
 目の細かい粉雪が狂騒のように舞っていた。今日は異常な大雪だ。

 強風も合わさり強烈な吹雪になってしまった。全く前方が見えない
  視界不良で運転もままならない。。。。。。。。。

 スピードを落とし、強い地吹雪の為に1メートル先も見えないまま
 走行していたが、ホワイトアウトになってしまったのだ。数センチ先も
  全く見えない状態になってしまった。そうなったら動くのは、
   かえって危険だ。その場にとどまるしかないのだ。

 そして車は立往生になってしまった。他に車も走っていない。
  近くに民家らしきものは見当たらなかった。。。。。。


‐ こんな人里離れた雪山を越えたところの車の中で、一晩過ごすしかないのか・・・


「車中泊するか?」「防寒用の毛布ないでしょ。暖とるためのエアコン点けっぱなし、
エンジンかけっぱなしだと、一酸化炭素中毒で死ぬよ… あんた!」

「外は相変わらず、雪が降り続いている。車の排気口を雪で覆われ塞ぐから排気ガスで
確かに死ぬなぁ〜 ワハハハ…」「そんな笑ってる場合じゃないでしょ… 全くもう…」

幼い息子が熱を出して体調が悪いと言う。こんな積雪が酷い中、妻は体調が悪い息子を背負って
 近くの民家を探して歩くと言い出した。俺は体調の悪い息子を背負い歩くことにした。


いくら歩いても、なかなか民家は見えて来ない。。。 ‐ 視界は白一色の銀世界のままだ ‐

 
 人家の灯りがなかなか見えて来ない中、
         俺の背中で息子の呼吸音が、先ほどよりも大きくなっていた...


   一刻も早く、火の気のある所に息子を連れてゆかねばならなかった。


 何も考えずに数メートル先をただ足を進めるだけだった。。。。。。
  自分がどれほど馬鹿なのか、本気で焦り始めそうになった...

…激しく粉雪が舞う中………
‐ 視界の先に、微かに遠く目を凝らし眺めながら歩いていると。。。
     … ぼんやりと民家の灯りが見えるではないか...
0842ジョン・スミス
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2024/01/13(土) 18:33:10.20ID:+aQ7mzXV
「03時」

 ‐ 窓の外、反対側の車輛… 動き始めた……… 
…あたいの乗っている電車と動き出そうとする対向列車…

… 動き出した対向列車 … ごく自然にあいつの姿を探す...

‐ 窓際の席に、必ず乗っているはずだと、視線を向けて目で追う...
その先で、確認したあいつの姿。 「あいつだ!」
 
 ... やっぱりあいつだった.........

 午前3時。未だ夜が明ける前だった...
          小さな呟きは、動き出した車輛の音にかき消された...

 ほんの数秒... わずか数秒という… たったそれだけの出来事だった...
昨夜の電話口での会話...
「さっきの話・・・、 嘘だよね?!」
「残念だけど・・・、 本当なんだ!」

「どうして、今まで黙ってたの…?! もっと早く言ってくれれば・・・
  あたいだって・・・」「・・・わかってる…」

「じゃあ、どうして…?! 自分から告白しておいて、突然、もう会えなく
 なるって言われても誰が納得できるの…?! そうやって私の真剣な
  気持ちを踏みにじって心の中で笑っていたの…?!」

「違う! 好きなのは本当だよ。だって笑った顔が可愛かったし、俺みたいに
ひねた奴にも優しかったし、・・・だから、少しでも長く笑顔でいて欲しかった。

それで言いそびれたんだ。言いたくはなかったんだ... だって考えてみろよ。
 この町を離れるまでの間、好きな人に笑顔でいて欲しいって思うことって
   そんなに... そんなに悪いことなのか…?!」

「話をそらさないで、苦労したっていいじゃない! 二人で手を取り合って
 行けば何とかなるよ。一緒に居たいのよ!」

「駄目だ! やっと掴んだチャンスだ! ここを逃せば、一生悔いが残る。
 次はない。今しかないんだ分かってくれ! ちょっとの辛抱だ。
   頼むからあと3年待ってくれ!」
 文字通り、次のチャンスはない。
 あいつが掴んだ逃してはならない最後のチャンスだった。

ここで一歩でも、退けば他の奴がチャンスをものにして抜き去っていく...
世渡り上手でもない要領が悪い、あいつが掴んだ最後のチャンスでもあった。
   --------- そのまま切るなと話は続く ---------
初めて本気で好きになった人だった... 一緒に居て楽しかった思い出・・・
その後、結局3年待ったけど... (あたいとの約束を忘れたのだろう…)
連絡は一切取れずに、...いつの間にか自然消滅した恋.........

あの頃のあいつは... 今頃、どうしているのだろうか・・・
… 今となっては、遥かに遠い昔のことだけど・・・
窓の外、反対側の車輛。動き始めたあたいが乗る寝台列車と動き出した
  - 対向列車がすれ違った瞬間 ―――

そんな寝台列車の旅をしていた夕方、座席に座り、窓の外を眺めていたら、
そんな古い記憶が突然、蘇ってきた.........

... つい最近の出来事のように今でも思い出す.........
          ...あたいも若かったなぁ〜 
0843ジョン・スミス
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2024/01/14(日) 18:25:39.15ID:v2PJODCO
「白菊」


 マミちゃん元気にしていますか?
 そちらで大きなじいちゃんとばあちゃんたちと楽しく暮らしていますか?

 ママはまだ、マミちゃんのお骨は手放せません。
 可愛い妹をいつも見守ってくれてありがとう... マミちゃん。

 又、お手紙書くね。
 大好きな、マミちゃんへ


 ‐ 娘が空を見上げて、「おかあさん! そらをみて !!  
 ほら、そらのくものあいだに、ひかっているところがあるでしょ… 
 そこからおねえちゃんが、みえるんだけど、てをふっているよ! 
  わらっているし、ひとりじゃないよ。

  ほら、おじいちゃんとおばあちゃんと、
          おかあさんのおともだちかな... ?

 みんないっしょにいてくれているよ。だからさみしくないから、
 だいじょうぶだって…」と私に言うんです。

  それを聞いて、私は涙が止まりませんでした... 。
 何故なら、まだ上の子が生まれる前に仲良しだった友人が若くして
 亡くなったのですが、二人の娘には詳しい話もしたことなかったのに...
 その友人のことまで私に教えてくれたのです。


 ‐ 私は思いました...。 友人が泣いてばかりいる私に、
「私が一緒に居るから大丈夫だよ…」
            と娘を通して励ましてくれたのではないかと...

 亡くなった娘も天国では成長し、楽しく暮らしていることが分かり、
 少しですが、心がスッとしたことを思い出します.........

 
  ‐ 今でも悲しくて、ふさぎ込むこともありますが、
       少しずつ前を向いていけるように頑張りたいと思います...

    
  月の降る夜は 水面に白菊が咲く 涙溜まる掌 ひとつ白菊が咲く
  
  冬を超えてあなたともう一度めぐり会い 
               冬を超えてあなたをもう一度愛したい
 
       変わらずに変わらずに 幻よ冬を越えて

  
         月の降る夜は 水面に白菊が咲く
          涙溜まる掌 ひとつ白菊が咲く

      
     
0844ジョン・スミス
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2024/01/15(月) 19:01:33.66ID:HO65JBkV
「こんばんわ」

「あらっ! 随分と、ご無沙汰ね…」「え…?!」「なによ! 驚いた顔してさ…」
「... いやあ…、一瞬、誰か、分からなかったよ。てっきり有閑マダムに
  誘われたのかと思ったよ。アハハハ…」「本当はそうなの… うふふ…」

 「何だ、それじゃあ… 昔と変わらないじゃないか、もっとも、あの頃
  みたいに、可愛くないけどさ、アハハハ…」「まあ、言ったわね。
  こらっ! すぐからかうんだから... うふふ… 変わらないわね。
    昔と一緒、その笑い方も、昔のままね…」


 昔、飲み歩いていた頃と、変わらずビル群に囲まれていても、此処の一角の
 飲み屋街は昔のまま残っていて、前のマスターと顔なじみと言う事もあって、
 マスターが入院中に頼まれて、一時、この店の雇われマスターをしていた。

そんな時に、マリコと親しくなった。暫く顔を見せていなかったので久し振りに
寄ってみたら、そんな昔懐かしいマリコにバッタリと出くわしたのだった...


「あれからどうしてた…?!」「あれから色々とあってね。何をやっても上手く
行かなくてねぇ… あの町、この街、渡ったわ。あたし、一つの所にとどまる
ことが出来ないのかもね。此処に来る前は、仙台の国分町に居たわ。歌舞伎町、

中州、ススキノ、北新地、錦3丁目、福富町... と渡り歩いて、又、此処に
 戻って来たの、ずっと一つの街にいると、他の街に行きたくなるの...

 人間関係も含めてね。もう、この街は、もういいかなぁ〜ってね。
 気分が続かないわね」「一か所に定住できない遊牧民気質が、ボヘミアンな
 マリコらしいよ。アハハハ…」「何よ! 茶化さないでよ! うふふ...」


 「まだ、猫は飼っているの?」「あの頃の猫はもう死んでしまったけど、
 今も猫は飼っているよ」「あなたも猫好きだから、話が合うわね...」

  …あれから十年も経っていながら、マリコは気の向くままに生きる。
    気ままな昔の風来坊なマリコのままだった...


 ――― それからは、俺たちは昔話に花を咲かせた ―――――――――


俺はマリコの愛嬌のある話し方につられ、もう、戻れない懐かしい昔話の数々に
いつの間にか時を忘れて相槌を打ち、お互いの出会いと、それぞれ別に歩んだ
 人生を店を閉めるまで語り合っていた.........


 店の外は雪景色。。。
  街灯の光に照らされた中... 雪が深々と降っていた。。。。。。。。。
0845ジョン・スミス
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2024/01/16(火) 18:43:35.52ID:02e/4r8X
「群衆」


 公園のベンチに座っていた。多くの人達がすぐ目の前を通り過ぎる………
 話しかけようと思えば、話しかけられるのに、相手から接触して来ない環境。
  案外、そんな人間観察などが好きだったりする...

 俺は公園のベンチでのんびりと行き交う人々を茫然と、ただ何も考えずに
 見ているのが好きだったりする。ただ、気を付けなければいけないのは、
 
  あまりジッと見つめないこと。相手に気付かれガンを付けられる。
  そんな感じで相手も気分を害し、お互いに気まずくなるからね。

マーケティングなどで、テーマを持った人間観察を職業にしている人たちとでは、
視点が違うのかもしれない。人間観察ってどこを見るかによって随分と違ってくる。

色違いのモコモコのダウンジャケットを着て寒そうに談笑して歩く若い女性たちや、
 ホット缶コーヒーを飲みながら談笑しているオッちゃん達を見ているだけで
 ほっこりする。心がほっこりする光景をただ探しているのかもしれない...

良い悪い煮つけ人間が好きなんだなぁと思う。くだらないことで悩んでいる自分が
 
 馬鹿らしくなるほど、色んな発見があって面白い。
            まだまだ人間て捨てたもんじゃないよと言いたいね…


   公園に来る前の商店街や路地裏でよく見かける光景。
   その中で通り過ぎる人々をただただ眺めているだけのおばちゃん。
    その表情からは何とも言えない哀愁が漂っていた...

   そんな下町だけではなく、繁華街や駅前で見かけた何とも言えない
    哀愁漂う表情で煙草を銜え、向かいの店を眺めている中華店の
     おっちゃんのその表情...

   そんな下町のおばちゃんも、煙草を銜え向かいの店を眺めている
   中華店主で休憩中のおっちゃんも(何を考えているのかなぁ〜?)
    と想像するけど、別に何も考えていないんじゃないかなぁ...


 その場の景色と光景、その中で醸し出す風情というか、
          情緒、味わいがあって何とも言えない哀愁を感じる... 

  長いようで短い... 儚い一瞬のドラマ...
               だからこそ一瞬一瞬を大切に生きたいね。


 -------- 人混みの中から、若い女性が息を切らして駆け寄って来た -

  「ごめんね― 待たせて―――」「遅いよ! じゃあ、行くか…」


 -------- また再び、都会の雑踏とした人混みの中に消えてゆく--------
0846ジョン・スミス
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2024/01/16(火) 18:48:25.00ID:02e/4r8X
>>845
13行目訂正
良い悪い煮つけ×
良い悪いにつけ〇
0847ジョン・スミス
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2024/01/17(水) 18:44:20.58ID:mVzMnzcg
「雪」前編

 幼稚園からいつも一緒だった幼馴染の男の子がいた。
         私は今でもよく覚えている。彼に恋をした日のことを。。。


幼稚園で、意味もなく友達に責められていた時に、唯一、私の側に居てくれて、
ギュッと手を握ってくれた彼が好きになった。それからは、子供ながらに
「すきだよ!」などと自分なりにアピールしていた...

今思うと、ませていたと思う。彼は顔を赤くするだけで答えてはくれなかった。
 周りに冷やかされるほど仲が良く、私も彼が好きだった...


中学校からは、私も素直に好きと言うのが恥ずかしくなり、小学校からの友達
などに冷やかされ度に否定していた。徐々に彼との距離も離れていった...

でも、密かな私の恋心は冷めることなく、彼と同じ高校に行きたくて必死に
勉強した。中学時代はお互い絡むことなく、特に思い出もないまま進んでいた。
 だから、高校では… と期待を込めて彼と同じ高校へに入学した。


高校からは、中学生の時の時間を取り戻すほど仲が良くなった。高校も卒業間近、
彼は進学、私は就職も決まり、こうやって久しぶりに今日、彼との待ち合わせ
 場所で待っていた。けど、結局は来なかった。あんなに約束したのに...

  来てはくれなかった。忘れてしまったのだろうか…?!
  (どうしたのだろう...?! 私のわがままが原因だろうか...)


 …雪がちらつく中。。。 一人トボトボと歩いて帰ろうとしていた時、

  母から電話が鳴った! 「あんた今、どこにいるの?」と母の声。
「○○公園にいる…」と私。「今から、お父さんと向かうから、待っていなさい!」

  お母さんが凄く焦っていたのを今でもよく覚えている...
   尋常ではないほど早口な口調と大きな声だった...


 数分もしないうちに親が来た! 来るなり、
  直ぐ車に乗せられ、訳も分からないまま病院へと連れていかれた...
0848ジョン・スミス
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2024/01/17(水) 19:03:20.43ID:mVzMnzcg
「雪」後編

――― 親が先生と何かお話している… 病院には学校の先生とお医者さんと、
 私の親と彼の親がいた。私の足りない頭では理解が難しかった...

お医者さんに連れていかれた所は病室ではなかった。薄暗い部屋にベッドの様な
者があり、そこには人が寝かされていて、顔には白いタオルが掛けられていた…

 此処でようやく頭が追いついた私。そっと、ベッドに近づき顔のタオルを
  取ろうとするも、彼の親からは見ない方がいいと止められた。


  私が彼を公園で待っている間、彼は飲酒運転の車に撥ねられ即死。


‐ 私はそんな事実を受け止められず、彼が「嘘だよ! バカだな」と笑いながら
頭を撫でてくれるんじゃないか… もしかしたら、慣れない悪戯をしようとして
いるんじゃないかって… また、いつものように私の顔を見てくれるんじゃない
 かって… ずっと待っていた。起きて笑いかけてくれるのを...

 けれど、いくら待っても、いくら時間が過ぎても、彼は起き上がらない...

  周りから聞こえて来る嗚咽... むせび泣きが私の頭を刺激した...
    もう、彼は帰っては来ない... 彼はもういないの...
   どうして、どうして彼なの... 何故、飲酒運転の車に...

   何処にもぶつけられない気持ちが私の中で渦巻いていた...
 好きだから、おきてって何度もお願いした... どうしてって、何度も
  何度も周りに投げかけた。意味のない私の叫びは消されていく...


 親や彼のご両親に宥められても、私は彼の傍を離れようとはしなかった。
 傍に居てと、もう何度も何度も、届かない声を彼に投げかけていた...

既に冷たくなった彼の手を離そうとはしなかった。抜け殻のようになった私に
真っ赤に目を腫らした彼のお母さんが彼が持っていたと言う手紙を渡してくれた。


  ‐ 手紙はぐちゃぐちゃで血が滲んでいた。これを読んでしまったら、
   彼が死んだと言うことを認めてしまう… 実感してしまう...

   私はどうしても、この現実を認めたくなく目を逸らしたくて、
  窓の外に目を向けた。もう既に夜になっていて、止んでいた雪が再び...

   。。。街灯の灯りの中、ゆっくりと空から雪が舞い降りて来た。。。
0849ジョン・スミス
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2024/01/18(木) 18:35:31.78ID:Ax5nn6Bp
「移動性低気圧」


 ‐‐‐久しぶりに会った女友達の里美と
             スタバでガールズトークに花を咲かせていた...


 「ねぇ、私ね。どうしても気圧の変化に弱いのよね...」

 「大体ね、女は気圧の変化に元々弱い生き物よ。雨の日になれば
   頭痛がしたり、だるかったり、何もやる気が起きない。

  起きて1時間経つのに中々起きれない。ベッドから出られない
  なんてのはよくあるよ。そんな日は、大概、天気予報は発達した
  低気圧が日本海側を東に進み、強い南風が吹いて天気が荒れる
   模様の場合が多いわね…」

  「低気圧になると、お天気が悪くなる。私も機嫌が悪くなる(笑)
   そして冷え性になる。ゆーうつ...」と私が言うと、

 「そうね、どうしても女は、筋肉量が少ないうえに、薄着をすること
  が多いからね。そんでもって冷え性になる。嫌よねー
 
 そんな日でも、私が昔付き合っていたマサル。あんたも知ってるでしょ
 あのマサル。あいつが『元気ねぇーな、ちょっと、景気づけに遊びに
  行こうぜ!』と競馬場に誘うデリカシーのないアホ男だったわ。

 『女は気分屋が多くて困るよ… その日の天気、気象で気分が変わるから
  困るよ。昨日、あれだけ機嫌が良くて行くって約束したんじゃないかよー』

  そんなこと言うアホ男のマサルは競馬、競輪、競艇、オート、パチンコ
   などのギャンブル好きで、呆れるくらい金銭感覚のない男だったわ。
   
   まあ、それが原因で別れたけどね。オホホ…」と苦笑いしながら
    里美はキャラメルマキアートを飲んでいる。

   私はホワイトモカを一口飲み、
   ナッツ&キャラメルチーズケーキを食べていると、
   「お互いに人肌恋しい季節ね…」と言う里美の話をきっかけに

      ‐‐‐その後は恋バナに花を咲かせた...

    
       女の胸の中には 違う女が住んでいる
       あと一人 時によりあと3人4人...

    女の胸の中には 手に負えない性悪と
       憎めない女神が 野放しで住んでいる
   
       わからん 冷たいのか わからん 熱いのか
        機嫌のゆくえは移動性低気圧

       わからん 遠ざかり わからん 跳ね返り
       はずみで何処まで 行くか戻るか
 
       女の心は低気圧 予測のつかない低気圧
       予測がつくのは 昨日へ戻れないことだけ
0850ジョン・スミス
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2024/01/19(金) 18:37:48.43ID:8yTMP3B1
「白鳥の歌が聴こえる」


 ボ〜〜〜ボオオォゥイィィ〜ン ボ〜〜〜ボオオォゥイィィ〜ン

空気を揺らす、低くて太い音に混じって、
                 細く高く唸る様な音が混じる汽笛の響き…

 港の倉庫では、フォークリフトが稼働する音と、ベルトコンベアの回る音が、
  今日も無機質な金属音を生み出していた。いつものように次々と到着する
  トラック。けたたましいエンジン音を響きせては、吐き出す排気ガスは
   倉庫内の隅々まで充満していた.........


     大手運送会社が運営する東京湾に面した物流センター


二時間くらい前に昇った朝日は、未だこの薄汚れた海をキラキラと輝かせていた。
俺は忙しく動かしていた手をふと休めて、その風情に見惚れていた...

 あまり気付いている者はいないが、
         その情景は、此処での一日で一番綺麗な瞬間でもあった。

「何やってんだ橋谷 !!! また間違ってんじゃねぇか!!」
「すみません、ヘマばかりで、すみません!」

「そう思うなら、ドジんじゃねぇぞ!! 分かったか! バカヤロー !!!」

いつものように響き渡る安藤主任の怒鳴り声! それは無機質な金属音よりも、
 トラックのエンジン音よりも、此処で一番響き渡っていた...


 その声は、ここ一週間、新人アルバイトの橋谷さんに向けられていた。
「ハハハ… またやっているよ」と周りから小さく嘲笑する声が聞こえる...。

 「今度は、どうしたんだい?」「今度ってか、いつものことよ。足立区の
 荷物を台東区方面に流しちまったらしい…」「はあ? 足立区と台東区じゃ
  別のレーンじゃねぇか?! どうすりゃ間違えられるんだ…?!」

「向いてねぇんだよ。それより俺は、あの怒鳴り声ら朝から疲れちまうよ…(笑)」
 身をよじらせたおかしな格好で、ペコペコ平謝りして頭を下げまくる橋谷さん。
 未だ怒鳴り続けている主任。傍から見れば、いじめているようにしか見えない。


「やれやれ、いつまで続くんだい...」と、
 俺の隣で作業している斎藤のおっさんが疲れた顔でぼやいている...


  ちょうど、 " そんな時だった! "

 救急車とパトカーが、けたたましいサイレンを鳴らしながら、
   こちらの海に面した湾港倉庫の方へ近づいて来るではないか・・・?!

「こっちに向かって来るけど、なんかあったんか…?!」「わからん?」
0851ジョン・スミス
垢版 |
2024/01/19(金) 23:03:47.25ID:8yTMP3B1
「歌会」初日、かなり良かったみたいですね。安心しました。僕自身も彼女のコンサート
の感動からファンになった一人です。2012年の「緑会」以来、チケット取れないこともあり
行く機会がないですね。一度は彼女のコンサートを体感することをお勧めします。
0852ジョン・スミス
垢版 |
2024/01/20(土) 18:56:09.34ID:X/+bIAw9
「雪傘」前編


休日、彼と彼の友人と道端で偶然出会い三人で歩いている時だった...
 いきなり霙が降って来たこともあり、近くの店に入ることになった。


… 少し遅い午後のランチタイム …
些細なことで口喧嘩になり、別れて以来、久しぶりの再会だった...

二人でいた頃、夜、何度か訪れたことがある店だった。ランチタイムは
込むと言う話を聞いていたお店も、平日の午後三時過ぎ頃のこんな
  時間帯は案外空いていて店内のお客は疎らだった...


 「お好きな席へどうぞ…」と店員さんに言われ、
            奥の方にある丸テーブルのソファ席に座る。


「夜来たことはあったけど、また違った雰囲気というか、印象が違うね…」と
夜しか来たことがなかったあなたは店内をぐるりと見回しながらそっと呟いた。

「実は今日、俺の誕生日なんだ…」とあなたは友人に呟くと、
「あ、そっか、じゃあ、それではみんなでお前の誕生日を祝って…」と

友人が音頭を取って「お誕生日、おめでとう!」「乾杯!!!」「ありがとう」
 あなたの誕生日祝いを兼ねた少し遅いランチをワインで乾杯し祝った。

  あなたの友人と三人で談笑し合い、あなたの誕生日を兼ねた
   少し遅い午後のランチタイム.........



... やがて、友人が去り、あなたと二人きりの時間が続いた......
     久し振りに、午後のひとときを時間を忘れ堪能した...
0853ジョン・スミス
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2024/01/20(土) 19:27:42.87ID:X/+bIAw9
「雪傘」後編


店を出ると、
午後三時過ぎ頃から降り出した霙は、既に溝り交じりの雪に変わっていた...
 全国的に寒波が襲い、霙交じりの雪が降っていた...。。。。。。
 ‐早速、近くのコンビニでビニール傘を購入する‐


。。。 街灯に照らされた霙交じりの雪が降り続く中。。。。。。


…雪が降るより冷たい霙交じりの雪の夜… 二人で傘を差して歩いた。。。
普段はあまり雪が降らない為か、既に交通網が慣れない雪に麻痺していた。。。
‐バスも電車も遅延しているようだった。。。。。。。。。


    … 灯り溢れる街中から、賑やかな歌が流れて来る ………
 これっきりと思い出に、決着を決めている私がいた。


  あなたは隠しているけど、知っているのよ。実は帰宅したら、
  あなたの誕生日を祝ってくれる人が居るのよね。
   私、知っていたわ...。


  凍えるような寒さの中、傘を持っているあなたの温かいぬくもりの
  ある手に指を添えて、あなたの声、白く吐く息を聞きながら
   過ぎゆく時を感じて歩いている......


  ありとあらゆる悲しいことからあなたが守ってくれていたんだね
  当たり前のように暮らしたあの頃・・・ アリガトって伝え忘れたね.


 今まで色々あったけど、過ぎ去った過去の思い出が蘇っては消えてゆく...
  迷惑でなければ傍にいて 車を拾うまで...

  これきりと心で決めている私の 最後のわがまま聞いてね...


  「Happy Birthday」
  今日を祝う人が居てくれるのなら 安心できるわ
  いつまで1人ずつなんて良くないことだわ 心配したのよ
  
     雪傘の柄に指を添えて
        ゆく時を聞いている
              思い出全部   アリガト
0854ジョン・スミス
垢版 |
2024/01/21(日) 19:01:17.84ID:AqqaxnYA
「信じ難いもの」


   ‐ 殴られた... 。 窓を開けベランダに居る...

…顔に当たる雪が染みる......

「かおり、俺が悪かった。ごめんな... 寒いから、窓閉めようぜ…」
「うるせえ!」と私。「だから謝ってるじゃないか…」とあいつが言う。

あいつが「あ、そうだ! 俺、コーヒー淹れるな。
     うんと、スゲー美味しいやつ、淹れるからな…」と
     殴った自分が悪いと悟ったのか、やたらこっちのご機嫌を伺う…


「一発で、お前の機嫌が直っちまうくらいのコーヒー淹れるから…」
 あたしたちは貧しくともコーヒーだけは切らさなかった...


「......... もう、窓閉めていいか…?」とあいつがあたしに聞いてくる。
「ダメ!」「そっか、まあ、なんて素晴らしい人生なんだ... 
 温かい一杯のコーヒーがあれば、人が十分に生きるに値する...
 なんちゃってなぁー(笑)」と、ひとりで雪が降り続く外を見て笑っている。

  (ふざけた野郎だ! こいつは!?)と思いながらも...
  「もう、窓閉めてもいいよ!」と許してしまう自分がいる…


 「良かった!」とひとりで燥いでいる。 " 何だこいつは…?! "


   --------何故、こいつの繰り返す嘘が見抜けないの...


「さっさと別れたら…?! もっといい男いるよ―」と親友の真奈美が言う。
確かにそうだ! ――― この嘘つき野郎が! ――― ちょっとした口喧嘩から

 売り言葉に買い言葉になり、そして殴られた! 
               この嘘つき野郎が全面的に悪いのに…?!

     ... ... ...


結局、あれからあいつとは別れた。そしてあたしは駅から歩いて10分の雑居ビルの
 地下にある小さなライブハウスでひとり弾き語りで歌っていた...

   ♪十四や十五の 娘でもあるまいに 
    くり返す嘘が 何故みぬけないの

    約束はいつも 成り行きと 知りながら 
    何故あいつだけを べつだと言えるの
0855ジョン・スミス
垢版 |
2024/01/22(月) 19:05:21.69ID:sxEuOzFI
「ララバイSINGER」

  ...去年のクリスマスの数日前だった......
  6歳の娘に欲しいものを手紙に書いて窓際に置いておくと、
 サンタさんからのプレゼントがもらえるよと言っておいたから、

 早速、何が欲しいのかなぁ〜と夫とキティちゃんの便箋を破らないように
  して手紙を覗いて見たらこんなことが書いてあった...


 「サンタさんへ おとうさんのガンがなおる 
            おくすりをください! おねがいします」


 夫と顔を見合わせて苦笑いしたけど、
            私も段々と悲しくなって少しメソメソしちゃった。


夜、娘が眠ったあと、夫は娘が好きなプリキュアのキャラクター人形と
「ガンがなおる おくすり」と普通の粉薬の袋に書いたものを置いておいた。


朝、娘が起きるとプリキュアの人形に大喜びしたけど、
 それ以上に「ガンがなおる おくすり」を喜んで
               「ギャー!」って嬉しい叫び声をあげていた。

早速、朝食を食べている夫の元にドタバタと走っていく娘…
「ねぇ、サンタさんから おとうさんのガンがなおる おくすりもらったの!
 はやくのんでみて!」と夫に薬を飲ましていた...

  「おぉー! 身体の調子が、段々と良くなって来たぞ!」
    と夫が元気よく漲る声を張り上げて娘に言うと

 「ああ、よかったぁ〜 これでおとうさんとまた、やまにハイキングに
  いったり、どうぶつえんにいったり、うんどうかいにさんかしたり
   できるね〜」って娘が言うと、


   夫が段々と悲しく顔を歪めてそして声を押し殺すようにして
    「ぐっ、ぐうぅっ...」って泣き始めた...


 その光景を見ていた私も貰い泣きしそうになったけれど、
  泣かないように鍋の味噌汁をオタマで掬って無理やり飲み込んだ...


 夫は娘に「薬の効き目が良すぎて、涙が出たよ…」と言い訳していた。


その後、娘が近所のお友達のおうちにプリキュアの人形を持って遊びに行ったあと、
夫が「来年は、お前がサンタさんだなぁ......... しっかり頼むぞ…」と言った。

  ‐ その言葉を聞いて、私の涙腺が緩んで涙が零れた...
0856ジョン・スミス
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2024/01/22(月) 19:24:06.03ID:sxEuOzFI
>>855
10行目追加
夜、×
クリスマスイブの前日の夜、〇
0857ジョン・スミス
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2024/01/23(火) 18:47:07.14ID:ufD7vGH3
「ALONE,PLEASE」

 先月、彼と些細なことから口喧嘩。きっかけは、彼の仕事が忙しくなり
  連絡が減って、何かと不安になったことが原因だった...
    今思うと「何であんなことで…」
 
  最後に彼から届いたメールが「悪いけど、暫く一人にさせてくれないか…」
     それっきり連絡が来ない.........

 
  ...。。。雪が舞い落ちる。。。。。。。。。... 
          粉雪が舞い落ちる夜空に光り輝くイルミネーション………


…駅から伸びる大通りには寒そうに並ぶライトアップされた街路樹の光のトンネル…
……… 沢山の電飾が煌めく光のベールに包まれていた ………

そんな粉雪が舞い落ちる中。。。 ライトアップされた街路樹に見とれていると
  「お待たせ― 待ったぁ―」―――「遅いよ」
                       「寒いね―」「そうだな」

  。。。雪の降る夜の街を二人寄り添って
         楽しそうに談笑しながら歩く幸せそうなカップル。。。


冷たい風に首をすくめて... 
「寒いね…」って思わず口に出しかけて... 通りすがりの人に謝ってしまった...(笑)


   恋人たちがイルミネーションを楽しんでいるように見えて
                    ひときわ独り身が寂しい。。。


 夜明け前にも降っていた雪。。。 あの時あなたに電話したいと思ったよ。
  「雪が綺麗だね...」と、ただ言いたかっただけ。。。

 。。。雪が再び強く降り始めた。。。 ショーウィンドウの明かりの中…、
     あなたに似合うセーターを見ていた...
         ………もう私が贈るなんて出来ない………


      あなたは今、どうしているの…?
        つい最近まで、あなたの隣には私が居た...
  
      あなたからの最後のメール...
                 瞳からは涙が溢れた...

  
      そんなこと考えながら私は雪が降り続く...
          光り輝く夜の街をひとり歩いていた。。。



      あれからの君が心配だとか そういうのいらないから
      親切とか無理とか そういうのいらないから
      好きなことだけを追いかけて生きてね... (嘘)

      知らなくていい 知らなくていい 泣いてること知らないで
0858ジョン・スミス
垢版 |
2024/01/24(水) 18:31:21.58ID:C8JkT04u
「サヨナラを伝えて」


 。。。深々と粉雪が舞い落ちる雪の中を私は歩いていた。。。。。。
 今日のように雪が舞う冬の日。あなたに会ったのもこんな日だった。。。


最初はただの飲み友達だった...
それが酒の勢いも手伝って、お互いが本音を言い合っているうちに、
 いつの間にかお互いがかけがえのない存在になっていた...


春になって桜が咲く頃には、一緒に時間を過ごすのが当たり前に
なっていた。いつだって二人でいたいと思っていたし、実際に出来る限り
二人で過ごすようになっていた......

あなたと共に過ごした最初の夏... 二人で海に行ったね...
「また一緒に来れるといいなぁ〜」そう呟いたあなたの横顔が夕陽に
照らされてとても眩しかったのを昨日のように思い出す...

秋、初めての私の両親に会いに来たのもその頃だった...
カチコチに固まっているあなたの様子が、あまりに可笑しくて笑ってしまった。


そして二度目の冬の日の朝...
「実は花束を抱えて行くつもりだったけど、急用が入ったから一時間遅れて行くよ。
 必ずそっちに行くから待ってて… 花束は花屋さんが届けてくれるらしい...
   必ず行くから、それまで待っててね…」と連絡が入った。

 話しぶりからちょっと慌てている様子だった...
  その後、その電話から30分後に花屋さんが花束を届けてくれた。
   約束の時間から既に三時間も経っていた......


...あなたは結局は現れることは無かった......
あなたのお母さまから、あなたが来る途中で事故に遭ったという
             連絡が入ったのは夜遅くなってからだった...

大慌てで病院に駆け付けると、ちょうどあなたが手術室に運ばれるところだった。
私はあなたの手を握ると、あなたは朦朧とした意識の中で一言言った...

   「行けなくて ゴメン...」って...
    それが私が聞いたあなたの最後の言葉だった.........


... ... ...
...と言うようなロマンチックな悲恋の別れだったら良かったけれど...
" 現実は違った! "  聞いたら花屋さんではないと言う…?!


 " 頼まれたと言う見ず知らずの男が花束を抱えて玄関前に立っていた! "


  おしまいの手紙は預かってこない 
            頼まれたものはあふれる花束

   今ならわかる恋の花言葉 
            黄色いローズマリー 伝えてサヨウナラ
0859ジョン・スミス
垢版 |
2024/01/25(木) 18:29:13.10ID:qka5+yZz
「野ウサギのように」


  ここは路地にひっそりと佇む個室付きの居酒屋。
  「ごっめ〜ん… 時間に遅れちゃって・・・」

  「いいよ、いいよ。私も今、来たみたいなもんだし… 
                   ほら、閉めて閉めて」とハルミ。
 
  「あ、ありがと…っ、はぁ〜 落ち着くうぅー」
  「何、その頭…?!」とハルミ。「オカシイ!? 変…?」

  
「変わったね! 何よ、それ! ワハハハハ…」と大声で笑う自信家のハルミ。


   「そんなに変…?!」「やめなさいよハルミ! 冗談よ、
      別に気にしなくていいわ」とアケミが慰めてくれる。

 アケミは続けて「ハルミはすぐユリをからかって面白がるんだから...
  それにしても、どうしたの? その銀髪。何か、心境の変化でも…?!」

    「可笑しい?」「可笑しくはないけど、
     どうして銀髪にする気になったの…?」とアケミ。

  「実は彼に言われて・・・」

  「また、あの男! あいつの言いなりになってない?!」とハルミ。

  ハルミが続けざまに「あいつの都合のいい女になってない?!
 信じられるのは彼だけの、あいつに依存していない…? それはね、自分に

  自信がないからよ。男にとって都合のいい女で終わらない為にたまには、
  わがまま言った方がいいわよ。恋愛依存症になりすぎてもダメなのよ!」


    「やめなさいよ、ハルミ!」とアケミが話を遮る。


 「アケミ、いいの、ハルミの言う通りよ。私、彼の都合のいい女になってた。
 彼なしでは生きていけない。彼と離れるなんて考えられない。信じられるのは
 彼だけの... そう、あいつに依存していた。あいつの好みに合わせて、

 ファッションや髪型を変えてみたり、無意識にスマホで彼のアカウントを
  いつも追って見たり... 彼に捨てられたくないから恋愛依存症に

 なっていた... ハルミの言う通り。確かに、恋人が変わるたびに...
 「これ似合うと思うよ!」と言われた次の日からファッションチェンジ!

  毎回、ファッションやメイク、髪型をガラリと変えていた...」
 
0860ジョン・スミス
垢版 |
2024/01/26(金) 17:33:19.62ID:8iDcQBef
「体温」

私は仕事の関係で偶々日本の地方で暮らすアフリカ人と親しくなる機会が
あった。彼は弁当屋、車の解体業、フォークリフトの運転、自動車部品会社
など職を転々としたと語る。そんな彼が日本の子供は夢がないと語る。

日本語で『もったいない』と言う。英語にはない素晴らしい言葉だと語る。

「日本に生まれただけでラッキーなんだよ。俺が生まれた時、4歳の頃、
 父ちゃんに『お前は将来何になりたい?!』と訊かれた。そんな風に
  父ちゃんに仕事、何すると聞かれたのが4歳の頃だった...

『タクシーの運転手と木こり、車屋とサッカー選手、どれ!』と四択だった。
 そして俺は『サッカー選手になりたい!』と言ったら父ちゃんは

『よし、分かった。お前、明日からサッカーの練習してサッカー選手に
なって俺たち家族を養ってくれ』と言われた。アフリカで貧しいうちの国は
99%が泥棒なんだ。うちの国は仕事なんてないけど、人口はいっぱいいる。

『お前がチャンスを掴んで俺たちを食わせてくれ』頼れるのはお前だけ
なんだと言われた。『日本人の子供は就ける仕事いっぱいあり選べるのに… 
何で自由なのに夢がない?!』野垂れ死んでいる者一人もいないじゃん。

うちの国では駅前で人が寝ていると思ったらハエがたかっているんだよ。
何回でもチャレンジ出来て、あらゆる教育受けられる国なのに何で日本の
子供は夢がないの? この国は生まれただけでラッキーなんだよ!

 何だってチャレンジが出来て、あらゆる教育が受けられて、
  世界一仕事が多い国だから好きな仕事に付けるんだよ」
  そんな彼の話を聞いて感慨深いものがあった。

「考え方、捉え方一つなんだ!」と思うと不思議と勇気が湧いて来た!
 無気力でただ無駄に時間を消化していた日々がもったいなく思えた。

『あたしは不幸じゃないかしら』と悲観して見てしまうけど、
 罰当たりなこと言いなさんなって 生きてるだけでも奇跡でしょ 
 
   体温があるだけで拾いもんでしょってね
0861ジョン・スミス
垢版 |
2024/01/27(土) 19:06:13.26ID:x8xfeZ7v
「根雪」前編


  … 私には付き合っていた彼がいました......
 彼との出会いは単なる偶然だった... だけど、私はあなたとの出会いは
  神様がくれた運命だったと今でも思っている.........


  彼は優しくて、いつも私のわがままを聞いてくれた...


 ところがある日、突然、
「君には悪いが、別れてほしい...」と彼から別れを告げられた...
 彼に理由を聞いても何も答えてはくれなかった.........

 
  私は何が何だか、分からないながらも、  
       意地を張って「分かったわ…」と言ってしまった。


 彼との別れを、
  全く頭で整理出来ないまま、毎日泣き続ける日々を過ごしていた...

   私がわがままを言ったからなの…?!
             でも、あまりにも突然すぎる。

あんなに仲良くしてくれていたのに...
嫌われてしまったと、悔やんでも悔やんでも、悔やみきれない......



 それでもフラれた手前、連絡をすることも出来ずに過ごした半年後...
  久し振りに彼から連絡が来た!

 「どうしている…?! 元気?」
 「もう新しい彼氏がいるから平気。 元気にしているよ…」

 「... そっか...」
              私はつかなくてもいい嘘をついてしまった... 。

 今も、ずっと、
  あなたを想っていると、何故、そう言えなかったのだろう・・・
0862ジョン・スミス
垢版 |
2024/01/27(土) 19:32:36.86ID:x8xfeZ7v
「根雪」後編


   … それから間もなくして、
     彼の友達から彼が亡くなったことを知らされることになる。
      彼は余命半年の癌だった.........

別れを切り出された頃に癌が見つかり、その後な闘病生活に入ったことを知る。
彼が私のことを想って別れたのだと、やっと理解できるようになった...

  どうして私に本当のことを教えてくれなかったのだろう...
   その日は溢れる涙が止まらなかった.........



‐‐‐ あれから今日で、丸一年が過ぎた...
          ...ちょうど、去年の今頃だった.........

  ‐ 今、街ですれ違った人が、あなたと同じ匂いを漂わせていた...
    それだけで、どうしてもあなたのことを鮮明に思い出してしまう...

  この世界は、あまりにもあなたのことを思い出させるものが多すぎる...

 。。。降り積もった雪が解けずに地面を覆っている。。。。。。。。。
 そこに深々と新雪が舞い落ちて来る。。。
    。。。 そんな雪の中を歩いていた。。。 。。。 。。。
  。。。 。。。 。。。 。。。 。。。 。。。 。。。


 今でも、彼とよく聴いた古い歌が町に流れると彼のことを思い出す・・・

  誰も気にしないで 泣いてなんか いるのじゃないわ
  悲しそうにみえるのは 町に流れる 歌のせいよ

  いやね古い歌は やさしすぎて なぐさめすぎて
  余計なことを思い出す 誰かあの歌を 誰かやめさせて

  いつか時が経てば 忘れられる あんたなんか
  いつか時が経てば 忘れられる あんたなんか

  
  町は 毎日 冬 どんな服でかくしてみせても
  後ろ姿 こごえてる ひとり歩きは みんな 寒い

  町は ひとりぼっち 白い雪に かくれて泣いてる
  足跡も 車も そうよ あんたもかくして 降りしきる

  いつか時が経てば 忘れられる あんたなんか
  いつか時が経てば 忘れられる あんたなんか

  いつか時が経てば 忘れられる あんたなんか
0863ジョン・スミス
垢版 |
2024/01/28(日) 19:18:40.44ID:kZ3e0U9D
「あの人に似ている」前編


  お洒落なカフェで一息ついている...
 何気なく外の雪景色を眺めていると店員さんから声を掛けられた。

「お客様、失礼します…」とコトンと置かれたそれは、
             湯気が立ち上がるホットミルクだった。


 「これは…?!」「あちらのお客様からでございます…」


   見ると、離れた席に座る男性が笑顔で手を振ってくれた。

   「あの…」「はい」「彼に、これを…」
      たまたま持ち合わせていた飴玉を店員に渡した。

   歳の離れた妹が「これあげる!」と今朝くれた飴玉。
     丁寧に受け取った店員は、そのまま彼の元へ持って行く...

涼し気な横顔があの人に似ていると何気なく見つめていると、
 彼と店員が笑顔でこちらを向いた。彼は貰った飴を私に示してから、
                       その口に放り込んだ。


 贈られたホットミルクに口をつける。
" 甘い、そして温かい " いつ以来だろう…? このシンプルな飲み物は…

  最近の私には、想像もつかないほど、遠くにあった記憶...
       早すぎる時の流れ... あっという間に変わる景色...


一息つこうとして... また、口当たりの優しいホットミルクを口に含んだ。
ふわっと広がる白いミルクの味... 身体の中に沁み透る… 
         ほっとするような温度...


 ホットミルクを、差し入れてくれた男性が、
               近寄って落ち着いた口調で語りかけて来た。
0864ジョン・スミス
垢版 |
2024/01/28(日) 19:42:50.93ID:kZ3e0U9D
「あの人に似ている」後編


 「こちらに座っても、よろしいですか?」
 「ええ、どうぞ…」私がそう言うと静かに彼は腰を下ろした。


 「ホットミルク、気に入って頂けましたか?」
              「ええ、ありがとう。とても美味しいわ」


  彼は私と、テーブルを一緒にしながら、持ってきたカップで飲んでいた。
 「あなたは何を飲んでいるの?」「僕はカフェオレを頂いています」

 「そう、とってもいいわね」
 「ええ、コーヒーもいいのですが、今日は、なんだか
  甘いものを飲みたくなってしまいました」と言って白いマグカップを掲げた。


 「ここに来るのは、初めて?」「いえ、実は三回目なんです」
 「あら、じゃあ、お会いしたことがあるかも...」
 「実は、一度お見掛けしました」

 そう語った彼の声のトーンも、話し方も、何故か、あの人に似ている...
 涼し気な横顔から、時折見せる寂し気な眼差しまで... 
   そして明るく振舞う処も...

「実は、私も昔の彼に似ていると思っていたの、あら、嫌だ! 奇遇ですわね…」
" これは偶然 " その後の会話も弾み! あっという間に一時間が過ぎた...


「もう、こんな時間、じゃあ、そろそろ私、帰ります」「ああ、ありがとう」
「こちらこそ、ごちそうさまでした。とても楽しい時間が過ごせました」


   「また、会えますか?」「きっと、また会えますよ」
    「そうですか、楽しみにお待ちしています…」
0865ジョン・スミス
垢版 |
2024/01/28(日) 20:52:00.34ID:kZ3e0U9D
>>864
15行目の
そして明るく振舞う処も... の後に追加

「実は、一度お見掛けした時、僕の彼女に似ているなぁ〜と思っていたんです。
彼女はホットミルクが好きだったんです。それで...」

 
  一番大事な部分が抜けてしまいました。
0866ジョン・スミス
垢版 |
2024/01/29(月) 18:26:02.01ID:xsUo5XbL
「強がりはよせョ」前編


  --- 付き合って三年目の彼女に唐突にフラれた...


「他に好きな人が出来たの、ごめんね!」
 就職して二年目。そろそろ結婚とかも、真剣に考えていただけに…


   突然のその言葉に、 " 目の前が真っ暗になった! "


 俺は彼女のことが本当に好きだし、勿論、浮気もしたことがない。
 そりゃあ、俺は格別にいい男って訳じゃないけど、彼女のことは
  本当に大事にしていたつもりだった...

   なのに、すっげーぇ、あっさりスッパリと断られた! ことが、
  どーにも、こーにも収まりが付かなくて... 電話するも着信拒否!

家に行っても、いつも留守。バイト先も辞めてた。徹底的に避けられた...
も− そのショックで、スゲー荒れた! その分、仕事に打ち込みまくった。


--- それから半年後、お陰で同期の中では断トツの出世頭になっていた...
   彼女のことも少しずつ忘れ始めていた.........


 そんな矢先のある日、スマホに知らない番号の電話がかかって来た。

最初は悪戯とかだと思って無視していたんだけど、何回もかかってくるから、
 仕方がないから出た。別れた彼女の妹を名乗る女からだった...

「お姉ちゃんに会いに来てくれませんか…?!」...聞いた話によると、
彼女は白血病にかかっていて入院していた。ドナーがやっと見つかったものの

 状態は非常に悪く、手術をしても助かる確率は五分五分だと言う...
  入院したのは、俺と別れた直後だった... 。
0867ジョン・スミス
垢版 |
2024/01/29(月) 18:58:06.08ID:xsUo5XbL
「強がりはよせョ」後編


俺は早速、病院へ駆けつけた。
無菌室にいる彼女をガラス越しに見た瞬間、俺は周りの目を忘れて怒鳴った!
「お前、 何勝手な真似してんだよっ! 俺は、そんなに頼りないかよっ!!」


  彼女は俺の顔を見て! " 暫く唖然 " としていた...
 どうして俺がここに居るのか、分からないだった。と言う顔だった。
 その姿は本当に小さくて、今にも消えてしまいそうだった...


  でも、直ぐに彼女は、 " ハッ " と我に返った顔になり、
                     険しい顔でそっぽを向いた。


 この機に及んで、まだ、意地を張る彼女。その日から手術までの二週間、
俺は毎日病院に通った。だけど、彼女は相変わらず頑固に俺を拒絶し続けた。


そして手術の日、俺は会社を休んで病院に着いた時には、もう手術室の中だった。
手術は無事成功。だけど安心は出来ない状態だった。抗生物質を飲み、経過を
慎重に見なくてはならない状態だと医者は言った。俺は術後も毎日病院に通った。


彼女は相変わらず俺の顔を見ようとはしなかった。ようやく退院出来る日が来た。
定期的に検査の為、通院しなくてはならない。薬も飲まなくてはならないけど、
日常生活を送れるまでに快復していた。俺は当然、彼女に会いに行った。

 お祝いの花束をもって「退院おめでとう!」そう言って花束を手渡した。
彼女は無言で受け取ってくれた。俺はポケットの中から、小さい箱を取り出して
  中身を見せた、俗にいう給料の三か月分だった。


「これ、貰ってほしいんだけど、俺、本気だから…」そう言ったら、
 彼女は凄く驚いた顔をして「バカじゃないの?」そう言った
 … 彼女の肩が小刻みに震えていた … 「うん! 俺、バカだよ…」

「私、これから先だって、どうなるか、分からないんだよ…?!」
「知ってるよ。色々とこれでも勉強したから… で、どうかな、俺の嫁さんに、
 なってくれる…?!」彼女は顔を見上げて、涙一杯の目で俺を見つめて言った。

「ありがとう」...俺はそんな彼女を強く抱きしめて一緒に泣いた...
0868ジョン・スミス
垢版 |
2024/01/30(火) 18:10:39.18ID:adjh7VOy
「ばいばいどくおぶざべい」

 雑居ビルの薄暗い地下にあり、壁には古びたポスターやステッカーが
  大量に貼ってある昔ながらの老舗のライブハウスに来ていた...

中は煙草の煙の匂いで薄暗い... そんな昔ながらのイメージのライブハウスは
 年々減り、分煙や禁煙が進んでいるところが多くなっている...

  最近はキャパ1000人規模のライブハウスや都会のおしゃれな空間的
   ライブハウスなど従来のイメージを大きく変えるようなところも
    増えてきて、ライブハウスの雰囲気はそれらの場所や又、
     イベントによって雰囲気は大きく違ってくる。


  此処の老舗のライブハウスも、
       ビルの建て替えと言うことで来年閉店することになった。

思い出の場所がなくなるのは、寂しいと多くのファンが駆け付けていた...
 俺が行った時は、ちょうどタテノリバンドの演奏が終わり、
                    次のステージの準備中だった。


  −−−−−−−−− 準備は整ったようだ −−−−−−−−−


 ――― ステージが始まった ―――
  " The Dock of the Bay " だった。それも三人組のオヤジバンドだ。
 隣の彼らのファンが言うには、ギターを弾く彼が続けていけなくなったことと、

 ボーカルが昔のように声が出なくなったこともあり、一旦、今日で解散する
 ことになったと言う。「ギターの彼の左手が、もう駄目なんだってさ...
 イカれちまったんだってさ... ボーカルも不摂生が祟って、昔のように

 声が出せなくなったんだってよ− それで辞めるだってさ… もう彼らの
 歌が聴けないなんて、寂しいよ...」と隣に座る男が寂しそうに呟く…

 そんな事情があって、今日で解散することになったというオヤジバンド。
  今夜、そんな彼らオヤジバンドの
         見納めの最後のステージに偶然、出くわしたというわけだ。
 
 ブルースバンドによるブルース風のドック・オブ・ザ・ベイ。
 ドスの効いた! しわがれた渋い歌声がブルースアレンジとマッチしていて
 いい味を醸し出していた。2曲目はBob DylanのLike a Rolling Stone......

  ミディアム・テンポのブルース調アレンジ…
   気のせいなのかは分からないが、心なしか... 
                 泣いているようにも聴こえた.........

 どことなく哀愁が漂うドスの効いた しわがれた低く渋い声の響き...

 ギター奏者の左手「イカれちまったんだってさ...」
「ボーカルの声も昔のように出なくなった…」と言う
 そんな話を隣の男から事前に聞かされていたので、ギターとボーカルの
  オヤジの表情を見ているだけで、グッとくるものがあった...

 そんなオヤジバンドの最後の舞台。最後のステージは終わった...

  大変いいものを聴かせてもらったよ... 
             ありがとうと心の中で叫んでいた………
 
0869ジョン・スミス
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2024/01/31(水) 18:11:57.99ID:nMnms0DH
「荒野」前編


 ― 小さい頃、よく親父と一緒に街中を走っていた −−−−−−−−−
 生まれた町は田舎でも交通量も少なく自然が多く、晴れた日には
  とても気持ちのいい空気が漂っていた.........


親父は若い頃、箱根駅伝で走っていた。足の痙攣で途中棄権。チームに迷惑をかけ、
完走できなかったことが、悔しくて今でも走ることが辞められないと言う...

 普段、無口で近寄りがたい親父も、
          走っている時だけは、ずっと俺に声を掛け続けてくれた。


中学に入った俺は、当然の如く陸上部に入部した。レースでは結構いい成績で、
部活内でもトップレベルだった。毎回応援に来る親父。俺が良い成績を出した日は、
酒を飲んで真っ赤な顔で上機嫌だ。正月はいつも箱根駅伝をテレビで見て言う。
「俺の望みは、お前と箱根を走ることだ。だから頑張れよ! ワハハハハ…」


高校に行っても陸上は続けた...
でも、思うように記録は出ず、俺はいつもイライラしていた。
そんなある日、体調を崩したこともあってか、案の定、酷い記録だった...

家に帰って、部屋のベッドで独り天井を眺めていると親父が入って来た。
俺の横に座って、長い沈黙の後に「なぁ、どうした…?! 最近のお前は・・・」

と親父が言いかけたところで、俺の気持ちが爆発した!
「うるせえ! 出て行けよ!! 親父には俺の気持ちなんか、分かんねぇだろ !!!
もう、嫌なんだよ !! 親父の期待に応えるのが! 俺に取っちゃ重荷なんだよ!!!」

俺の言葉に親父は驚いた顔をして眺めていたが、暫くすると、悲しそうな顔をして
俺を思い切り殴った! おふくろが止めに入るまで親父と大喧嘩をした...


 −−−−−− それ以来、親父とは話すことも無くなり、
            その後、俺は陸上部を退部し、走るのを辞めた。
0870ジョン・スミス
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2024/01/31(水) 19:07:06.98ID:nMnms0DH
「荒野より」後編

 −−−−−− その二か月後、親父が急に倒れ病院に運ばれた。
 余命半年の末期癌だった。俺はショックを受けたが、親父とのわだかまりがあり、
  おふくろに何度も、誘われたが見舞いに行けずにいた......

  親父の様子は、体力は徐々に衰え、いつ死んでもおかしくないほど
   弱って来たとおふくろが言っていた...

  そんなある朝、学校に行く前におふくろが思い出すように話し始めた。
 俺が高校へ入ってからも、陸上を続けたことを親父は凄く喜んでいたこと...
 俺が記録が出ずに苦しんでいる時、親父も同じように悩んでいたこと...
  走ることを嫌って辞めることを凄く心配していたこと...

なのに、あの日、大喧嘩の後、一切、俺が走ることを辞めたことを知り、
その後、何も言わなくなったこと...「あの人も頑固だからねぇ…」とおふくろ。

 俺は、そんな話を聞いて、学校に行ってからも気になっていた...
 休み時間、友達が「あの先生で数学が嫌いになったんだ…」と語った時、
" 俺は気付いた! " そうだ !!!

‐ 俺はあの日、親父に「親父のせいで、走るのが嫌いになった!」そう言った!
 
  誰よりも走ることが好きで、
   俺と走ることが楽しみな親父に向かって言ってしまった...

俺は授業そっちのけで病院に走った。道路は雪が積もり何度も転びそうになった。
暫く走っていないせいか、心臓が破裂しそうなくらいバクバクいっていたけど、

 それでも俺は懸命に走った... 走っている間、あの日、俺を殴る前に
  見せた悲しそうな親父の顔が何度も何度も頭に浮かんだ......


病室に行くと、変わり果てた親父がいた。ガリガリに痩せて身体からはいくつかの
チューブがでて大きく胸を動かしながら、苦しそうに息をしていた......

走ってぜぇぜぇしている俺を見るなり、「走って来たの?」と驚くおふくろの顔。
親父は「走って. 来た. か...」と消え入るような、か細い声で呟いた...

頷く俺に「なぁ. 走るのは... 楽しい. だろ。 お前と. 箱根走り
たかったな... でも、後悔は. していない... お前は. 俺の誇りだ...」
 それが精一杯の力を振り絞って親父が、俺に語った言葉だった......
  
 それが結局、最後の言葉になった。
    その後、直ぐに親父の容態は急変し、間もなく息を引き取った...

… 俺は病院を出ると、とにかく走った……… 涙が溢れて止まらなかった...
小さい頃に親父と走ったあの道、コースまで、とにかく走った… 走りに走った…
霙交じりの雪が降って来た。。。...  … 身体の震えが止まらない …

号泣きしながら...  … 俺はとにかく無我夢中で走った………
そしたら幼い頃、親父と一緒に走っていた記憶が蘇って来た。一緒に走る時は、
いつも俺に声を掛け続けていた親父... たとえどんなに距離が離れても...


「オヤジ―――――――――!」霙交じりだった雪は...。。。
         ――― いつの間にか、吹雪になっていた。。。。。。。。。
0871ジョン・スミス
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2024/01/31(水) 19:09:07.37ID:nMnms0DH
>>869
タイトル訂正 
「荒野より」
0872ジョン・スミス
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2024/02/01(木) 18:33:11.98ID:qzjq09En
「バクです」

 うちには4歳になる息子と2歳の娘と3か月の次男がいる。
  息子は既に反抗期で、何かと暴れて、部屋を散らかす…

 そんな4歳の息子の悪行三味を見てまねようとする2歳の娘。


次男を妊娠中の時に、嫁がトイレで
       股から大量出血し、切迫早産で即入院することになった...


  大量出血と救急車に運ばれる場面を目撃してしまった息子!


 その晩、取り敢えず家に帰り、子供たちを寝かせようと電気を消したら、
 息子が「ママと、もうずっとあえないの? おほしさまになったの?」と
                    今にも泣きそうな声で聞いてきた。

   きっと、あの衝撃的シーンを
    目撃してしまい 幼いながらにビックリしたのだろう...


 「ママは赤ちゃんを産む為に、病院にお泊りなんだよ」と言い聞かせた。


 だが、その後、病院で嫁はそのまま新たな命と引き換えに他界した...
  幼い息子に嫁の死の説明に困ったが、察している様子でもあった。


 あからさまに嫁の死後、あんなにやんちゃだった息子の性格が変わった。
  いいお兄ちゃんになった。部屋の片付けもするし、娘、次男の面倒を
   見るお利口さんな長男になった......


息子よ! 色々とありがとう。父さんは嬉しいよ! 無理していないか…?!
まだ4歳なんだから堂々と泣いていいんだよ! 父ちゃんはわかっているぞ !!


  最近は毎日「ママー ジュースとって!」「ママー ママー」
 「ママー おててつないで!」「ママ… ママ…」と泣きながら寝言
   言っているから父ちゃんは心配しているんだぞ!


 嫁よ、お前が産んだ子供たちは母親が居なくても毎日、辛い思いしながら
  頑張って生きている。たまには子供たちの夢の中に来てやってくれ!
  
    .........そして抱きしめて褒めてやってくれ!
 
0873ジョン・スミス
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2024/02/02(金) 18:15:02.84ID:4yJJJxHv
「童話」

「寝たか…?」「今、二人とも寝たわ…」「そうか…」「あなた」「何だ?」
「幼い子供たちを寝かしつける為に童話の絵本を読み聞かせて思ったんだけど、
お話の終わりは、どれもめでたしめでたしで終わるけど、昔からそうなの…」

「昔の童話の絵本は洋物のグリム童話も、日本昔話も結構、残酷で暴力的な
 表現があったり、怖いものも意外と多かったらしい。結末も決して、めでたし

 めでたしではなかったものもあったらいしね。けど今の幼児向け童話の絵本は、
  それらの怖い部分は一切排除し夢物語的になっているんじゃないかな…」
   「あら、そうなの… 改編されてるの? 知らなかったわ」

「幼い子供には読んで聞かせるには描写が残酷すぎるとか、時代に合っていない
などの理由で改編されたんだと思う。作品によっては、改変され過ぎてあらすじが、
 原型を留めていないことも珍しくはないらしいね。どれ、」と妻が持っている

  幼児向けグリム童話の絵本「赤ずきんちゃん」を受け取り見てみた。
                 

 「僕が五歳の頃、一つ上のお姉ちゃんの部屋にあって盗み見した童話の絵本
 『赤ずきん』の物語の結末は、先回りしたオオカミがおばあさんを飲み込み、
  おばあさんに扮装したオオカミに赤ずきんちゃんが飲み込まれてしまって、
  通りかかった漁師に助けられてめでたしめでたしでおしまいだった。

この絵本ではオオカミが謝って、みんながオオカミを許すと言う結末になっているね。
これ日本版だけなのかね。それともこの絵本『赤ずきんちゃん』限定なのかもね。

   これはこれでいいのかもしれないね」
    昔の童話と今の童話では全く生きている時代背景が違うから


   それより、今の世の中、目を醒ましてみるのは 片付かない結末
  現代の子供たちの童話のようにめでたしめでたしでは終わらない現状
   
   幼い子供たちに読んで聞かせる童話のようにはいかない現実
    色々と多くの問題を抱えているこの世界の現実と言うものがある

   童話は童話 世界は世界 子供たちに何と言えばいいのだろうか


   「急に黙り込んでしまって、どうしたの…?!」
            「いや、ちょっと考えごとしてただけさ…」


 実は、これから妻に伝えなければいけないことがあった。俺の会社は外資系
 企業で今日退職勧奨を受けた。「一先ず、君には一ヶ月間の自宅待機を命ずる
 からその間に退職に応じるか、どうかを検討してくれ。もしも、退職に応じて

 もらえないようであれば、君を解雇するよ。解雇の場合は特別退職金も支給
 されないから、よく考えてね」と言われた。給料が高い分、高い能力が求め
 られる。それに見合った これといった成果を出していなかったことが主な
 原因だろうと思う。妻と二人でこれからの身の振り方を考えるつもりだ。

   今日、退職勧奨と言う現実が付きつけられていたのだった...
0874ジョン・スミス
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2024/02/03(土) 18:57:45.38ID:FPU40tU0
「あなたの言葉がわからない」前編


 昨年の冬の大雪の時の話。長野在住の私はちょうど雪が降り始めた日に
  特急で一時間ほど松本に行く予定だった.........

 その日は週末で込み合っていて、特急の自由席は、ほぼ満席状態だった。
  仕方なくドア付近で立っていた...


    「遅れています…」というアナウンスが流れ...


 (やっぱりなぁ〜)と思っていると外国人、歳は40代くらいの白人男性が、
" What did the announcement say just now? " と、いきなり英語で話しかけられた!

私は英語は、さっぱりなので...
ちょっとテンパリながら、身振り手振りのジェスチャーで英語が話せないことと、
電車が遅れていることを伝えると、彼は理解したらしく

 " Thank you " と、キヨスクの方をちらほら...
  彼は何かを買いたそうにしていて、車外へ出ようか迷っていた...


ちなみに、この特急は最終列車なので、乗り遅れる訳にはいかないし、
車内販売も無くなった悲しい特急。(私も大丈夫かなぁ〜)と様子を伺っていると
  ― 10分ほど遅れます ― のアナウンスが!

 彼は10分ほど遅れることが、何となく分かったらしく、私の方を振り返り、
  満面の笑みを浮かべながらキヨスクへ...

(良かったなぁ〜)と思っていたら... 態々、私の方まで来てビールが
  買えたことをアピール !! それを見て「良かったですね!」と私。

 電車も遅れていて、ちょっとテンションも下がっていたけど、
  彼の表情の豊かな、ちょっとした仕草に心が和んだ...


その後、更に電車は遅れたものの無事到着し、ホテルでチェックインの
  手続きをしていると、" なんと、隣の窓口に彼が… !!? "
0875ジョン・スミス
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2024/02/03(土) 19:31:00.12ID:FPU40tU0
「あなたの言葉がわからない」後編


お互いに " ?!" ビックリしつつ、話しかけようかなとは思ったものの、
 私は人見知りを発動してしまい... そのままお別れ...
  こんなことが、あるんだとちょっと感動した!


次の日、雪の影響で電車が全面的に運休した。
             身動きが取れず、どうすることも出来ない...


仕方なく別のホテルに急遽宿泊。雪国だから電車も雪にはめっぽう強いのに...
まさかの敗北... 明日は帰れるのか... 電車は動くのか...


途方に暮れながらも、次の日の再開の知らせを聞き、始発を待っていた...
 当然、混雑&遅延 ゆっくりながらも、何とか進む電車。。。。。。


途中、除雪が追い付かず、ある駅で停車してしまった。外の景色は雪ばかりで
 動くものが何もない辺り一面、見渡す限りの雪景色。。。。。。。。。


‐ 周りを見渡しても、みんな疲れ切ったような顔をしていた......


「あぁ〜 ヤバいなぁ... このまま足止めされたら、ど―しょ…」と
 不安に駆られていると、 " なんと! 窓の外に… "
                     停車中なのをいいことに...


 。。。 外に出て、 " パシャ! パシャ! パシャ!! " 。。。。。。



 … 嬉しそうに写真を撮っている! 例の彼の姿が......。。。。。。

そんな彼は、私に気付いたらしく身振り手振りのジェスチャーで必死に私に何かを
伝えようとしていたけど、私には、それが何か、最後まで分からなかった...

  " え、ええっ?! " なに…?! わからない?! 何々???

...なんて言っているの? ...何にも分からない... Ah… Ah…

 ...あなたの言葉がわからない...
          あなたの言葉が何にもわからない.........

               Ah… Ah… ………
0876ジョン・スミス
垢版 |
2024/02/03(土) 19:46:29.88ID:FPU40tU0
>>874
6行目訂正
白人男性が、×
白人男性から、〇

>>875
下から7行目訂正
ジェスチャーで必死 ×
ジェスチャーと口を動かして必死 〇
0877ジョン・スミス
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2024/02/04(日) 18:09:02.86ID:c4ZsC1XM
「India Goose」前編

 私は世界で五番目に高い山、ヒマラヤのマカルーに挑む登山家として、
 山頂まであと少しの所まで来て驚いたことがある。越冬の為にインドに

  渡るインドガンが頭上高く飛ぶ光景を目にしたからだ。この鳥は高度
   9000m、実に民間航空機と、ほぼ同じ高さを飛ぶ…………

このアジアに生息するガンの一種、インドガンは世界で最も高く飛ぶ鳥だと言う。
渡り鳥の期間はおよそ二か月。移動距離最大8000キロ。二か月間に何度も休憩するが、

ヒマラヤ越えは夜間から早朝にかけて一気に飛び越える。平均8時間で向こう側に
到着する。しかも、追い風や上昇気流の助けを利用せず、自力で自分の筋力だけで、

 それほど風が吹かない夜に飛び立ち険しく聳え立つ山を越える。何でまた態々
 そんな超高所、難所を追い風に乗ることもなく、滑空もせず、逆風であっても

  常に羽ばたき続け、そんな過酷な条件下で自力で越えて行こうとするのか、
   インドガンに不思議と興味を持ち始めていた。。。。。。


  そんな登山家として、私は企業や大学の支援を受けて挑んでいた。
   それに並行して講演活動なども忙しく駆け回っていた...

そんな矢先のことだった... 。
妻が、まだ母親が恋しい幼い子供たちを残して原因不明の突然死で他界してしまった。


妻が他界して半年が経った頃、当時6歳の娘と3歳の息子が居た。電車に乗っていると、
息子が「ママ、ママ…」と隣に座る女の人の服を掴んでいた...
         その女性の友達が「あんたに言っているよ。この子…」

 それを聞いていたお姉ちゃんが、
     「まぁちゃん、ママじゃないよ! ママはもう、いないんだよ!」

 「だって、ママ…」
 「ぢがうよ! まぁちゃん、ママはね、おそらにいっちゃったんだよ!」

     「だって… ママ…  ママ...」
0878ジョン・スミス
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2024/02/04(日) 18:32:47.50ID:c4ZsC1XM
「India Goose」後編


 妻が居なくなったことを、まだ理解できないでいる幼い息子。
 私は、そんな幼い子供たちにどう接してやれば良いのか父親としての
  不甲斐なさに悩まされていた.........

  実際の私も、妻の面影を追う毎日であった...
   家に帰宅しても、寂しさが家中を包み込んでいるようだった...。


 そんな折、私は仕事の都合上、又、再びというか、
 度々、家を空けることが多くなり、実家の母に暫く来てもらうことになった。


 出張中、何度も自宅へ電話をかけ、子供たちの声を聞いた...
 二人を安心させるつもりだったが、心安らぐのは私の方だった気がする。


 そんな矢先、息子の通っている幼稚園の運動会があった。
 「ママと踊ろう」だったか、そんなタイトルのプログラムがあり、
     園児と母親が手を繋ぎ輪になって、お遊戯するような内容だった。

 こんな時に、そんなプログラムを組むなんて・・・ と思っていた時、
 「まぁちゃん、いくよ!」 " 娘だった! " 息子も笑顔で娘の手を取り、
                   二人は楽しそうに走って行った...

 一瞬、私は訳が分からずに呆然としていた...
 隣に座っていた母がこう言った。あなたがこの間、九州に言っていた時に、
  正樹はいつものように泣いてお姉ちゃんを困らせていたのね...


 そしたら、お姉ちゃんは正樹に、
 「ママはもう、いなくなっちゃったけど、おねえちゃんがいるでしょ?

 ほんとうは、パパだって、とてもさみしいのよ。だけど、パパは、ないたり
  しないでしょ? それはね、パパはおとこの子だからなんだよ!

 まぁちゃん、おとこの子だよね。だから、だいじょうぶだよね?
  おねえちゃんが、パパと、まぁちゃんのママになるからね!」
                           … そう言ったのよ。


 ・・・ なんということだ... 6歳の娘が、ちゃんと私の代わりに、
 この家を守ろうとしているではないか... と思うと目頭に熱いものが...
0879ジョン・スミス
垢版 |
2024/02/04(日) 18:38:51.16ID:c4ZsC1XM
>>878
下から11行目訂正
九州に言っていた時に、×
九州に行っていた時に、〇
0880ジョン・スミス
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2024/02/04(日) 20:02:53.09ID:c4ZsC1XM
>>877
下から2行目訂正
ぢがうよ! ×
ちがうよ! 〇
0881ジョン・スミス
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2024/02/05(月) 18:50:12.80ID:2mLf3dfB
「霙の音」


 部屋でポーカーゲームをやっていた時だった...
「何か俺に隠していないか…?」といきなり彼に聞かれた。
  その言葉に私は " ドキッ! " とした。

 あなたは何か言いたげだった。私は動揺を隠せなかった。
  心の中で、それ以上言わないでと叫んでいた...


「そうか........」とあなたは、それ以上は語ろうとはしなかった...


    ------ 私の動揺を悟ったのか…………


「もうやめよう...」とポーカーの手札を私の前で顕わに放り出した。
  私も一緒に手札をテーブルの上に放り出した...

  あなたはテーブルを離れて、
       窓際まで行き、静かに窓の外を眺めている........


    どうしたらいいの私… (何か言ってよ...)


あなたは静かに窓の外を見てる 静かに誰かを隠している... 
聞きたい話じゃないでしょうけど 他人から聞かされる前に話したかった

 --- 本当は、今夜のうちに話してしまいたかったの …………
      私の嘘とあやまちのこと

 聞きたい話じゃないでしょけど 好きな人が出来たの私 少し前から
     ねぇ 霙って音がするのね 雨とも違う窓の音


 先程まで降っていた雨は、いつの間にか、霙交じりの雨から...
... 雨を含んだ霙交じりの雪へと変わっていた...。。。。。。

  ...夜空に浮かぶ月も凍えるような... とある霙の夜........

 霙交じりの雪の夜... 
       空気が全部凍りついてしまったように静かだった........

 壁際にある暖炉の低い焔が時々... ひらひらと燃え上がって
 ........ 部屋の暖炉のあたりをぼんやりと照らす中 ........


  ...私はまるで外の霙交じりの雪の中に居るようだった...


 ...霙って音がするのね........ 雪より寒い夜の音 ........


  
0882ジョン・スミス
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2024/02/06(火) 18:34:55.21ID:Ouc+qAZd
「かもめの歌」

 学生時代以来となる欧州放浪の一人旅に出かけた。
              一応、3か月くらいの予定を組んでいた...

 日本を無事出国。窓からの景色を楽しんだ。定刻通りフランスの
シャルルドゴール空港に着陸。飛行機を降り、荷物受け取りカウンターに到着。
ドキドキしながら待っていると、回転カウンターからちゃんと流れて来て安心した。

 バックパックは最後の方の受け取りになるらしく、私が受け取った時点で
  周囲にはほとんど人が居なくなっていたので凄く不安だった。

 荷物を受け取り、フランス語で[sortie]と書かれた表示を頼りに歩いた...
  出口を出てからパリ中心部に向かう為の列車に乗る必要がある。
   ターミナル間を移動し、REB-B線に乗る予定だ...

まず初めにターミナル間を繋ぐ無人列車、CDG-VALの表示を目指し駅に向かう…
 駅はスムーズに見つかった。2分ほどでCDG-VALが来たので飛び乗った。

私はターミナル1到着なので、RER-B線が走る駅があるターミナル3へ向かう…
 CDG-VALに乗る際、もう窓から見える空は夕暮れ近かった......

 フランス到着初日に宿泊するホテルは{TiPi Hotel}翌日の移動に便利な駅が
 最寄りにあるホテルにした。なのでホテル最寄り駅のmontpamasse駅を目指す。

Gare du Nord駅行きのRER-B線に乗った。列車に乗って揺らいでいると、
" 突然のトラブル発生! " 列車内の駅名が書かれたボード上、Gare du Nord駅で
乗り換え予定のメトロ4番の表示に、大きく×マークがついていた!

意味が分からず、取り敢えずGare du Nord駅に到着するも、駅内は大規模な工事中。
どうやら駅が工事の為に、ここからではメトロに乗り換えが出来ないらしいと分かった。

取り敢えず、次の大きな駅まで向かうことにした。表示に従いメトロ駅に着くと、
チケットを買いメトロ4番に乗り換え無事に目的地に到着することが出来た。


 地上に出ると日がだいぶ傾いていた。夕方になっていた...
 日暮れは日本よりも遅い。街中をキョロキョロ観ながら、
 [TiPi Hotel]を目指した。少し細めの道を入り、Hotelに到着した。

 「Hello」と挨拶すると「ボンジュール」と返答。「Checkin please.」と
 言ってみるとパスポート提示を求められたので、パスポートを差し出すと、
  英語で何やら説明され、チェックイン用紙を記載するように言われた。

 鍵を渡され「あの階段から上がって…」と指さされた方の階段を上がり
 部屋へ到着。鍵を開け部屋に入る。部屋のベッドに横になり、ラジオ局の
  チャンネルを回すと、シャンソンが流れて来た......

   Patricia Kaas というシンガーが歌う
       {Juste une chanson}というシャンソンだった...
0883ジョン・スミス
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2024/02/06(火) 18:51:12.84ID:Ouc+qAZd
パトリシア・カースのサードアルバム「永遠に愛する人へ」
このアルバムの為にアメリカ・ドイツ・日本などの各国から楽曲を集めたと言う。
パトリシア・カースの要請を受けたスタッフを通して中島みゆきに依頼があった。

それがこの「Juste une chanson」
中島みゆきがパトリシア・カースの為に書き下ろした「かもめの歌」だ。
0884ジョン・スミス
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2024/02/07(水) 18:10:56.15ID:SVYO3Tf4
「フォーチュン・クッキー」


 頭が痛くて痛くて、明るいうちから布団に入って朦朧としていた...
  4歳の娘、完全放置...。
 
 ご飯も買って来た納豆巻きをテーブルに置いただけ...
「ママね、おくちあけてね! いっこだけでもね、たべたらね、
                        げんきになるんだよ―」

  と言いながら、ちよっとお醤油を
    つけた納豆巻きを私のお口に入れて居間の方へ走って行った娘…


 ちゃんと歯を磨いて、パジャマ姿に着替えて、居間の電気を消してから、
「よーし、めぐもいっしょにね、ねてあげるからね!」と潜り込んできた娘。

 「なっとうまき、まだのこしてあるからね。あとでおきたら、きっと、
   おなかすいているから、たべるんだよ!」と言って眠りにつく娘。


夜中、少しは良くなって回復して来たので起きたら、テーブルの上に納豆巻きがない!

あちこち探してみたら・・・
冷蔵庫の野菜室の中に、輪ゴムでぶきっちょに封をした納豆巻きのパックがあった!

大型冷蔵庫に最近買い替えたばかりで、普通の冷凍庫には、手が届かなくなったから、
 何処に仕舞ったらいいか娘が一生懸命に考えている様子を想像したら・・・
    ちょっと、ウルッときた...


 今朝、目覚めて最初に「ママ、もう、あたまいたくないの?」
   「もう、大丈夫よ!」「わぁあ、よかった! げんきになって!」

 朝食を一緒に食べていると、「ママ、みてて」と言うなり、いつも残す野菜を
 食べて見せて「もうたべられるよ!」と得意げに平らげた娘。成長を感じて、
 
  ちょっと感動しながら娘の頭を撫でたら「ママのえがおが、おいしかった」
    その我が子の名言にウルッときちゃった...


 
 「ママ、ママ、こんなのでてきた! これなんて、かいてあるの?」

おやつの時間になったので昨日、
娘と行ったデイズニ―ランドで買って来たフォーチュンクッキーを開けた。
そんなクッキーを最初に開けて食べた甘菓子の中から出て来た紙を持ってくる娘。

  ‐「これ!」―と娘が持ってきた紙を覗くと、

 ‐‐‐{ Happiness bring by your daughter }‐‐‐
0885ジョン・スミス
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2024/02/08(木) 18:15:28.36ID:bARk1GUd
「ツンドラ・バード」

 真っ暗な道を走って約40分、遅刻せず無事にヒッコリーウインドに着いた。
 
  ガイドさんから「上着が足りないね〜」と指摘され、
                防寒着のレンタルをしてもらう...

  防寒着を着たら早速、音羽橋へ出発。
            そして到着すると、もう既に人が沢山いた!

  早朝に、こんなに人が居ることにもビックリだが、
             もっと驚いたのは外国人観光客の数だった。

  ほとんどが外国人ばかりだった。ガイドさんも英語がペラペラだ。
   釧路から、此処、鶴居村まで車で約40分くらいで着いた。

 木の枝にいる雪の妖精とも呼ばれるコットンのような
   モフモフの可愛らしいシマエナガが " チィ−チィー " と鳴いていた。

隣のガイドさんが、
  英国のソールズベリー近郊の街から来たと言う男性と会話している...

何言っているのか全然わからない。凄いなぁ〜 会話を聞きながらも鶴を発見!!!
 ‐ これは凄い!!! いっぱいいる!!! ‐
 
 ... 朝霧の湯気が舞い上がる中の鶴の群れ... 
      なんと、幻想的光景だろうか...。 見とれてしまう......

 ガイドさんの話によると、鶴は川で寝るそうで、凍っている場所よりも、
 凍っていない川の方が温かく、鶴にとっては温泉のようなものだとか...
  川で寝ていれば敵が近づいて来ても、音で分かるのが理由らしい。

  話を聞いているうちに日も出て来た。
   すると、鶴の群れが一斉に羽ばたき、大空に舞い上がった!

 こんなに近くで、飛び立つ姿を観る機会は今までなかったので、かなり感動 !!!
  太陽を背に大空を飛んでいく姿は、あの映画のワンシーンのようだった・・・

 隣のアメリカ人男性が、双眼鏡で見ているので
 「何を見ているのですか?」とガイドさんに聞いてもらうと
     「高い樹の枝から、獲物を狙うオオワシ」を見ていたと言う。

 ガイドさんによると、鋭い眼光のオオワシやオジロワシなど
               猛禽類は特に外国人に人気が高いと言う。


 ‐ その時だった!! ‐ 一瞬の隙を突き、小高い丘の高い樹の上から急降下、
       水面付近にいた獲物を捕らえた! " 一瞬だった! "

  
 そんな決定的瞬間 !!! を目撃した !!! ..." オジロワシ " だった!


 ‐ その瞬間! ‐ を隣のオーストラリア人男性が
   シャッターチャンスとばかりパシパシとシャッターを切っていた。


  静かにたたずんでいたと思ったら、
   一瞬で獲物を仕留め、音もなく翼を広げ飛び去って行った…………
     その姿にハートを鷲掴みされた...
0886ジョン・スミス
垢版 |
2024/02/09(金) 18:14:57.89ID:DkTVahuw
「ひとり上手」


  。。。雪降る中、イルミネーションが綺麗な季節...。。。
       私はスマホを片手にメッセージを送る...
       「明日、会える?」‐‐‐‐‐‐‐‐‐


   ‐ 暫くして返事が来た... 「三日後なら」...


  何となくわかっていた... けれど、胸が痛む...
   寒さで動かせない指を見つめて言い聞かせた。。。

  彼にはあの子が居ることを最近知った...
  彼に出会ってから今まで、彼との約束を楽しみに生きて来た...


 女友達との飲み会では、決まって恋バナで盛り上がる。
  けれど、最近になってみんな私にその話を振らない...

 それは「何もなかったよ。私も、みんなみたいに早く恋がしたいなぁ〜」

 いつも返事が同じだから、私に振っても面白い話が聞けないからだ。
  事実を言えるわけがない。この人たちは口が軽く滑りやすいし、
   そんな話に尾ひれ背びれが付く………

 彼女がいる男に惚れて、二番目の女として生きているなんて恥ずかしくて
  親にも言えない... だから相談相手がいない.........
   ゆえに私はどうすればいいのか延々と悩み続けている...



 彼との約束の日が来た。車で迎えに来てくれた彼とドライブに出かけた。
  その後、イルミネーションを見て食事をしてホテルに入った...
    ことを終え、彼がベッドから立ち上がろうとした。


   雨のようにすなおに あの人と私は流れて
    雨のように愛して サヨナラの海へ流れついた


 私は咄嗟に手首を掴む...「… どうした?」「いや、何でもない...」

 違う、そんなことが言いたいんじゃない… 彼に別れを告げなくちゃ...
 そうすればきっと、新たなスタートが切れる。彼は彼女と幸せになれるし、
  彼と関わらなければ、私だって他の男に目が向けられる...

 そう考えようとしても、心が本音を叫んだ... ひとりにしないで...
  ダメだ... このままじゃ今日で最後に出来ゃしない...


   あなたの帰る家は 私を忘れたい街角 
    肩を抱いているのは 私と似ていない長い髪

   心が街角で泣いている ひとりはキライだと拗ねる
   ひとり上手と呼ばないで 心だけ連れてゆかないで

   私を置いてゆかないで ひとりが好きなわけじゃないのよ
  
0887ジョン・スミス
垢版 |
2024/02/10(土) 18:28:04.56ID:N9COjj5M
「ねこちぐら」前編

 たまちゃんを拾ったのは、雪のちらつく2月のとても寒い夜だった。。。
  小さな仔猫が、空き地で泣きわめいていたのを保護した...
   それがたまちゃんとの出会いだった......

 温かいミルクをあげても飲まない。水と猫缶をあげたら、猫缶を少しだけ
 食べたので、ちょっとだけ安心した。炬燵の傍で丸くなって...
  やっと眠りについた.........


 翌日、獣医さんに見せたら「よく生きていたね…」と言われた。
 心配していた排便も、飼ってから三日後にやっと出た。親からはぐれて、
  ほとんど何も食べていなかったから出るものもなかったらしい...


うちのお父さんは大の猫嫌いで、最初は飼うことを許してはくれなかったけど、
母がお父さんを説得してくれた。「飼うなら、責任を持って飼いなさい!」と

 いうことになった。お父さんは相変わらず、近づいてきたら追い払う
  動作をしたり、自分から逃げていた......


  そんなある日の朝、
  お父さんの寝室から、たまちゃんの鳴く声が聞こえて来た!

  「こいつ、いつの間に寝ていたんだ…!?」とお父さんの驚く声が
    したので、私とお姉ちゃんはお父さんの寝室へ行った。


   すると、たまちゃんはお父さんのお腹の上で寝ていた!


  私とお姉ちゃんは大爆笑… 
  「お父さん動けないじゃん! たまちゃんの復讐だね(笑)」

   お父さんは予想に反して追い払わずにこう言った。
   「一体、いつまで寝ているんだ。こいつは…?!」

 お父さんの顔は、相変わらず仏頂面で全然笑っていないけど今にも笑みが
 こぼれそうなのを我慢してそうな顔をしていた。その日からお父さんの
  たまちゃんに対する態度は少しは良くなった...


 不思議なことに、たまちゃんは、いつも餌をあげたり遊んだりしている
 お母さんやお姉ちゃんや私よりも、無愛想で、撫でたりしないお父さんを

  慕っていた。昼寝はいつもお父さんの部屋の机の下の座布団で
  夜寝る時だけ、お父さんのベッドに眠りに行っていた...


 お母さんもお姉ちゃんも
 「なんで、あんな臭いところで寝るかねー」と不思議がっていた...


 そんなお父さんも、もう、たまちゃんを追い払うことはなくなっていた。
  そして私たちはお父さんの机の下にねこちぐらを作った...
0888ジョン・スミス
垢版 |
2024/02/10(土) 19:09:01.49ID:N9COjj5M
「ねこちぐら」後編


 それから、しばらく経ったある日、突然、たまちゃんがいなくなった!
  一日中探しても、見つからない。こんなひどい雨ふりなのに... 。


   −−− 三日後に、たまちゃんは帰って来ていた...。


  たまちゃんの様子が、何かおかしいので獣医さんに見せると、
 「猫は気まぐれな動物です。外出が好きな猫は、一週間近く帰って
  こないこともあります。二、三週間だと保護されているか、

  迷子になっている可能性があります。中には、一ヶ月もしくは、
  一年、二年過ぎてから、ひょっこり帰ってくるケースも
   稀にあるんですよ…」と言ってた。


 そして診断は単なる風邪だと言われた。それを聞いて家族はみんな安心した。


  しかし、なかなか治らない… 三週間も過ぎても治らない...
   普通は二、三日で治る病気なのに、流石におかしいと思った。


 獣医さんは私たちに、
 たまちゃんは詳しく検査した方がいいかもしれないと言った。
 その頃から、たまちゃんは、いつも鼻水がいっぱい出るようになった。
  お父さんの部屋に行く階段を登るのも少し辛そうだった...


 そんなある日、いつものように玄関を開けて
 「ただいま−っ!」って帰宅したら、お母さんが目を真っ赤にしていた。

 私は嫌な予感がした。今日は診断結果を聞く日だった。
            それを早く聞きたくて学校から早く帰って来た。


「お母さん! たまちゃんはどうだったの…?!」「...ダメなんだって…」


その時、ちょうどお父さんも帰宅した。事情をしったお父さんは、
一瞬、凄く驚いて悲しそうな顔をした。たまちゃんは、もう動くことが辛そうで、
ほとんど動くことはなかった。いつもヨダレが出っぱなしで見てられない...


その時は突然やって来た。転びながら歩くたまちゃんを抱きあげようとした時、
もう起き上がれなくなっていた。呼吸のペースが速くなって、今まで聞いたことの
ないような声で鳴き始めた。それからしばらくして、たまちゃんの呼吸は止まった。


    家族みんな泣いていた。大の猫嫌いだったお父さんも...
    ‐ たまちゃん 今まで、ありがとう。幸せだったよ ‐
0889ジョン・スミス
垢版 |
2024/02/11(日) 18:38:49.96ID:IbOEaHQs
「マンハッタン ナイトライン」

  ...わりと地味で簡素な部屋だった。
 家具もサイドスタンドも、キャナル・ストリートの泥棒市に並んでいそうな
 アンティークだ。豪華な部屋とは言えないが、その方がかえって落ち着く。

 。。。窓には雪がびっしりと付いている。。。。。。。。。
― 窓を開け、下を見下ろすと一晩で積もったらしい雪景色になった小さな公園がある。

 そこを独りの老いたジョカーが、
  凍り付いた雪道を白い息を吐き切らし喘ぎながら苦しそうに走っていた。。。

 。。。お寒い中、ご苦労さんだ。彼もまた、このホテルの客なのだろう。。。

…凍り付いて凍てついた車道を車のクラクションや往来のざわめきを遠くから運ぶ…
24時間眠らない大都市。この大都市が活気づくのは、むしろこれからと言っていい。

巨大なビル群… 壁面を埋め尽くす四角く切り取られた無数の窓に張り付いた雪。。。

 活気ある街ではあるが、
  先へ先へ急ぎ過ぎるあまり、油断すると置いてけぼりを食らってしまう。


明日までに仕上げなければならない仕事が山積みだ。一つ一つこなしているうちに
あっという間に時間が経った。軽い朝食を済ませてから始めた仕事だったが...


 昼食を食うのを忘れていた。壁の時計に目をやると、" 18:36 " 夢中に仕事を
  こなしていると時間が過ぎるのも早いもんだ。周りの巨大なビル群の窓に
  灯りが点り出す... ビル群が徐々に輝き始めて来た......

 空港で買った煙草に火を点ける... 部屋の明かりはまだ点けてはいない。
窓の外の暮れゆくマンハッタンを見ていると、小さな部屋の中に居るちっぽけな

  自分と対比し、巨大なイルミネーションと化した... 
… 摩天楼が浮き上がって来る … ここは孤独を感じやすい街でもある...


  昔と全く変わっていないなぁ〜 
   この大都市で暮らした甘く苦しい日々のことが頭を駆け巡る...
 

大学を中退し、一年半、ぶらついてから海を渡った。名目はニューヨーク市立
大学建築学科聴講生。早い話が、もぐりの天ぷら学生みたいなものだった...

イーストビレッジの安アパートに部屋を借りていた。週四日、歩いて15分の
大学に通い、夜はタイムズスクエアの日本食レストランで働いた...

メリトクラシー(能力主義)が理想的生き方の競争社会アメリカに大学を中退し、
安易な気持ちで海を渡りやって来た。そして色々と辛酸舐めつくした苦い経験。

そんなかって経験したことに、思いを巡らし回想しているうちに溜まっていた
 仕事を一気にこなした為か、疲れから眠気が一気に襲って来た...

  ...そのままベッドに眠り込んでしまう.........


 ――― どのくらい寝たんだろうか ――――――
 テレビを点けると、ちょうど、深夜0:35 ナイトラインが始まっていた。 
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