「群衆」


 公園のベンチに座っていた。多くの人達がすぐ目の前を通り過ぎる………
 話しかけようと思えば、話しかけられるのに、相手から接触して来ない環境。
  案外、そんな人間観察などが好きだったりする...

 俺は公園のベンチでのんびりと行き交う人々を茫然と、ただ何も考えずに
 見ているのが好きだったりする。ただ、気を付けなければいけないのは、
 
  あまりジッと見つめないこと。相手に気付かれガンを付けられる。
  そんな感じで相手も気分を害し、お互いに気まずくなるからね。

マーケティングなどで、テーマを持った人間観察を職業にしている人たちとでは、
視点が違うのかもしれない。人間観察ってどこを見るかによって随分と違ってくる。

色違いのモコモコのダウンジャケットを着て寒そうに談笑して歩く若い女性たちや、
 ホット缶コーヒーを飲みながら談笑しているオッちゃん達を見ているだけで
 ほっこりする。心がほっこりする光景をただ探しているのかもしれない...

良い悪い煮つけ人間が好きなんだなぁと思う。くだらないことで悩んでいる自分が
 
 馬鹿らしくなるほど、色んな発見があって面白い。
            まだまだ人間て捨てたもんじゃないよと言いたいね…


   公園に来る前の商店街や路地裏でよく見かける光景。
   その中で通り過ぎる人々をただただ眺めているだけのおばちゃん。
    その表情からは何とも言えない哀愁が漂っていた...

   そんな下町だけではなく、繁華街や駅前で見かけた何とも言えない
    哀愁漂う表情で煙草を銜え、向かいの店を眺めている中華店の
     おっちゃんのその表情...

   そんな下町のおばちゃんも、煙草を銜え向かいの店を眺めている
   中華店主で休憩中のおっちゃんも(何を考えているのかなぁ〜?)
    と想像するけど、別に何も考えていないんじゃないかなぁ...


 その場の景色と光景、その中で醸し出す風情というか、
          情緒、味わいがあって何とも言えない哀愁を感じる... 

  長いようで短い... 儚い一瞬のドラマ...
               だからこそ一瞬一瞬を大切に生きたいね。


 -------- 人混みの中から、若い女性が息を切らして駆け寄って来た -

  「ごめんね― 待たせて―――」「遅いよ! じゃあ、行くか…」


 -------- また再び、都会の雑踏とした人混みの中に消えてゆく--------