福島県等の政策に批判的なジャーナリストによる「100 mSv以下の被曝による健康影響はよ
く分かっていないから、安全サイドに考えて対策を講じるべき」という趣旨の発言も、科学的
には誤った言い方である。

放射線の人体での発がん影響は一桁レベルのmSvまでよく分かっており(8)、
他の有害物質の影響と比較して、むしろ人体影響が極めてよく分かっていると言うべきである。

例えば、診断放射線では、すでに1953-1972年のデータで被曝量が7 mSv以下の胎内被曝
により出生後の小児がんの有意な増加があったし(4)、
また、自然放射線では累積被曝量の違いが1 mSv(12)あるいは5 mSv(10)を超えると、
白血病やその他のがんの有意な増加が観察されている。