マイナスドライバーを1本持っていただけで現行犯逮捕
https://news.yahoo.co.jp/byline/maedatsunehiko/20191111-00150358

 未明に金沢市内の駐車場に停めた車中で警察の職務質問を受けた男性(71)。トランクの中からマイナスドライバー1本が発見され、現行犯逮捕された。なぜか――。

ピッキング防止法がある

 男性の逮捕容疑は「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律違反」だった。

 1990年代後半から、ピッキング、すなわち耳掻き状の特殊な金属棒をかぎ穴に差し込み、短時間で開錠したうえで、住居や事務所などに侵入し、盗みを働く事件が多発した。そこで、これを未然に防止するために2003年に制定・施行されたのが、この「ピッキング防止法」などと呼ばれる法律だ。

 すでに軽犯罪法にも「正当な理由がなくて合かぎ、のみ、ガラス切りその他他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具を隠して携帯していた者」を処罰する規定があった。

 しかし、違反者に対する刑罰は拘留(1日以上30日未満の身柄拘束)か科料(千円以上1万円未満の金銭罰)であり、懲役や罰金がなく、あまりにも軽すぎる。しかも、被疑者が住居不定の場合か、検察や警察の出頭要請に正当な理由なく応じない場合しか逮捕状で逮捕できない。

 そこで、ピッキング防止法により、一定の器具について規制や罰則を強化したというわけだ。