寄生虫・人権屋と移民戦略 7 【多文化共生?】
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
Voice 2020年5月号
移民政策は欧州の失敗に学べ ダグラス・マレー
ttps://www.php.co.jp/magazine/voice/?unique_issue_id=12509
取材・構成:大野和基(国際ジャーナリスト)
――本書では、欧州が大量の移民・難民を受け入れたことに警鐘を鳴らしていますが、移民政策の最も深刻な
問題は何でしょう。
マレー 移民を受け入れることはいくつかの恩恵があるが、それがとるに足らないものになり、いつマイナス面が
上回るのかを欧州諸国が理解していないことです。たしかに移民の労働力により、GDP(国内総生産)が増加する
側面はあります。しかし、そうした財政面のプラスの恩恵を受けるのはほとんど移民自身であって、社会全体には
行き渡らない。移民が入ってくると、現地労働者の賃金は下がる傾向にあるからです。
ただ私の見方では、重要な点は財政面ではなく、文化面のイシューです。「あなたの国は、文化を蔑ろにした
たんなる場所にすぎないのですか?」と問いかけたい。
――アメリカは移民を受け入れているからこそ繁栄しているといわれています。それは経済面のプラスのみを
見ているのでしょうか。
マレー アメリカは元々「移民によってつくられた国」であり、移民たちがそこで成功すると主張できるしかるべき
理由があります。日本やアフリカ諸国とは事情が異なります。
欧州は建国当時のアメリカと異なり、活気があり、強力かつ多様な文化がすでに存在している。欧州とアメリカの
移民における文脈は同じではありません。
(続く) >>275 (続き)
――あなたの考えでは、良い移民と悪い移民がいる、ということですか。
マレー もちろんです。その違いは複雑ですが、あえて単純化していえば、移住した国に感謝の気持ちをもって
社会に順応するか、復讐や怒りをもって適応しようとしないか、です。自分や祖先を裏切ったと信じ込んで社会に
怒りを感じるのは、「French integration (移民がフランスの社会に溶け込むこと)」が悲惨な状況にある理由の一つ
です。北アフリカからの移民のほとんどは、旧宗主国のフランスのことをよく思っていません。
――移民問題に、欧州・イスラム間の「文明の衝突」の側面があるとすれば、双方は別の文化圏で生活を送るべき
でしょうか。
マレー 現実を見ると、彼らは大部分、自ら進んで別々に暮らしていますね。シンガポールのような強制的に統合
された地域は、ゲットー(ユダヤ人を強制的に収容した居住区域)化を回避しようとするために、政府が圧政的に介入
した注目すべき例といえます。ほとんどの人びとは、自分と同質の人と生活をしたいと思っています。
マレー 移民問題は財政や社会保障、外交などすべての政策に影響します。2014年にリークされたイギリス国防省
の報告書によれば、イギリスはさまざまな国内イシューを抱えているため、軍事面で関与できない国が多数あると
いいます。たとえばインドとパキスタンのあいだで戦争になったとしても、イギリスは国内政策で手いっぱいのため、
武力を使って介入できない。その国内政策には移民問題が関係しています。
日本では、対外政策における不関与が当たり前に認識されていますね。財政面の手っ取り早い解決策として移民の
に飛びついたとき、将来的にどのような負担が待っているのか。日本人の皆さんにはよく考えてもらいたいと思います。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています