【中東ウオッチ】サウジ皇太子が描く「未来都市」 100%再生エネ、車道なしの成否は
https://www.sankei.com/premium/news/210218/prm2102180003-n1.html
2021.2.18 06:00

中東の石油大国サウジアラビアは、最先端技術を集めた巨大開発プロジェクト「NEOM(ネオム)」の建設を始めると表明した。紅海に面する同国北西部に、再生可能エネルギーだけで運営される“未来都市”を一から作り出す壮大な計画だ。
世界でも例がない先駆的な試みで、石油依存からの脱却を視野に産業の多角化も目指す。野心的なプロジェクトの現状は−。(カイロ 佐藤貴生)

車がない街

 「なぜ発展のために自然を犠牲にしなくてはならないのか」「未来を見据えた街の概念に移行する必要がある」。サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は1月10日、こう述べてNEOMの中核となるエコシティー「LINE」の建設計画を発表した。

LINEは全長170キロの市街地で、車も車道もなく二酸化炭素の排出量はゼロ。100万人の居住を見込んでおり、住民は高速の公共交通機関で移動し、学校や医療施設など、どこに行くにも20分かからない利便性も兼ね備える。(以下略)