外国人材の猛烈な急増が引き起こす大問題
"安価な労働力"だと必ず行き詰まる
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 この4月の入管法改正により、外国人労働者の一段の増加が予想されている。日本総研の山田久主席研究員は、
「われわれの試算では2030年には全労働者の5〜6%に達する。だが居住地の偏りなど、すでに起きている問題への
手当ても遅れている。少なくとも制度上は3つの見直しが必要だ」と指摘する――。

 では、これらの施策をどう評価すべきか。われわれの行ったアンケート調査では、今回の新在留資格の創設による
外国人材受入れ拡大についての評価を企業に聞いている。それによれば、「事実上の移民政策であり、反対だ」という
明確な否定的意見は1割に満たないが、その一方で、「歓迎する」との回答も約3割にとどまる。

 現状、外国人労働者は雇用者全体の約2%にとどまるが、日本総研の試算では2030年には5〜6%に達すると
みられる(※3)。そうした状況に向けて適切なコントロールを行わなければ、生産性の低迷や日本人との仕事の競合、
あるいは景気悪化時の外国人の大量失業という問題を引き起こしかねない。

 以上、政府や自治体の課題についてみたが、働くために日本にやってくる外国人が、その生活時間の多くを過ごす
のは企業(職場)においてであり、そうした意味ではまずもって企業の受入れの在り方が重要である。ここで出発点と
なるのが、受入れる外国人を「人」として見るという、当たり前のことである。しかし、残念ながら、そうした
当たり前のことが必ずしもできていないのは、技能実習制度の法律違反が多くみられ、留学制度の悪用が散見される
ことに表れている。
 そうした安易な考え方のままでは、90年代以降コスト削減を至上命題として非正規労働者の割合を高め、安上がりの
ビジネスモデルを構築し、短期的には良いようにみえても、長期的には苦しい状況に追い込まれている、日本企業の
在り方に根差す面がある。
 いま求められているのは、安価な労働力としての外国人を受入れることで、薄利多売の時代遅れのビジネスモデルを
生き長らえさせることではない。

 ここで銘記すべきは、外国人材活用の真の意義はコスト削減ではなく、海外向け事業の拡大にこそあるということだ。