倉重篤郎のニュース最前線
第3の「開国」に耐えられるのか 移民国家日本の不都合な現実
ttps://mainichi.jp/sunday/articles/20190527/org/00m/070/002000d
 話は永田町に戻る。移民元年にふさわしい動きが一つだけあった。国と自治体に外国人に対する日本語教育の責務を負わす
「日本語教育推進法案」が今国会成立の見通しとなったのだ。

 超党派の国会議員団が議員立法し10年越しで成し遂げた。主導した中川正春衆院議員(元文科相・立憲民主党)はこう言う。
「日本語教育を国や自治体に義務化、企業に対しても自ら雇用した外国人の日本語教育をしなければいけませんよという法律
です。国、自治体は具体的計画を作る。国内だけでなく海外でも日本語を振興していくと両建てにもなっている」

 ここまでくるには時間がかかった。
「10年前にスタート、超党派で具体案を作ったのは3、4年前だ。歴代文科相を引っ張り込んだ。皆同じ問題意識だった。
18年12月改正出入国管理法と共に通すことも可能だったが、1年待った。私としてはあの入管法に連動する推進法ではなくて、
本来あるべき移民基本法に連動していく日本語教育という思いだ」
 どんな移民基本法案を?
「技能実習生とか、特定技能労働者と言ってごまかさず、移民として真正面から取り組む。出稼ぎ単純労働目的の人たちに
対しては、入国を認めるが一定の年限で帰ってもらう一方、移民という形で日本に定住する人たちに対しては、人権、労働条件、
福祉、医療、その他の面で日本の地域社会と共生していける受け皿を法制度的にきちんと作る。そして、トータルで規制をする。
日本社会がどこまで受け入れる許容範囲があるか、それを探りながら各国に割り振って、2国間協定で決めていく。多文化共生法
と言ってもいい」
(続く)