>>426 (続き)
 ところが、シリア人の内婚率は約35%です。内婚率が高い社会は、集団として閉じた社会を形成する傾向があり
ます。ここから指摘できるのは、移民の社会統合は、トルコ移民よりもシリア移民の方がはるかに難しい、という
ことです。
 ドイツは、すでに存在するトルコ系移民の統合すらうまくいっていない。にもかかわらず、シリア系移民を大量に
受け入れようとしている。
 つまりドイツは、労働力を手っ取り早く移民で補う安易な政策によって、みずから危険を引き寄せているのです。
日本は、このドイツと同じ轍を踏むべきではありません。
 第四の過ちは、「移民受け入れにあたって多文化主義を採用すること」です。
 いきなりこう申し上げると戸惑う読者が多いかもしれませんが、移民受け入れに必要なのは、「多文化主義」では
なく、「同化主義」です。
「多文化主義」とは、「同化主義」よりも聞こえは良いですが、要するに「移民隔離」政策です。
 移民にとって可能な未来は、「同化」か「隔離」の二つしかありません。そして移民にとっての究極的な運命は、
「同化」しかありません。長いスパンで見れば、受け入れ国にとって移民を「隔離」するのは、持続可能な解決策
とはみなせないからです。
 ヨーロッパでは、かつて英国やドイツが多文化主義を唱え、「移民を無理に統合させようとせず彼らの自主性に
任せる」という政策を採りました。しかし、結局うまくいきませんでした。
 移民に対し「同化主義」を採用してきたのは、フランスです。
     (略)
 ただ、フランスの「同化主義」が問題を起こすのは、それが教条的で高圧的で不寛容なものになる時です。
これが、イスラム系移民とその子孫らを傷つけ、分断を招いています。
     (略)
(続く)