「移民元年」で日本人が直視するべき「労働現場」の真実
ttps://www.fsight.jp/articles/-/45189

“本丸”は留学生の動向

 人手不足が深刻化するなか、日本は外国人労働者の受け入れを増やし続けている。その中心が「実習生」と「留学生」である。
ともに受け入れ制度には様々な問題があるが、実習生については頻繁に取り上げる新聞やテレビも、留学生の置かれた実態は
ほとんど報じない。また、実習生には最長5年という就労制限が設けられているのに対し、留学生は就職によって移民への道も
開かれる。外国人介護士問題と同様、「移民」という視点も私が留学生の受け入れに着目する理由の1つだ。

大幅に緩んだ「就労ビザの発給基準」

 留学生の数は、第2次安倍晋三政権が誕生した2012年末からの6年間で約16万人も増え、33万7000人を数えるまでになった。
こうして急増した留学生の大半が、ベトナムなどアジア新興国から多額の借金を背負い、出稼ぎ目的で入国した“偽装留学生”
であることは、本連載で繰り返し述べてきた。

 そんな“偽装留学生”が今後、続々と就職時期を迎えていく。その時期に合わせるように、政府は留学生の就職条件緩和策を
打ち出した(外国人留学生「就職条件緩和」に潜む「優秀な人材」という欺瞞 2018年10月1日)。「留学生30万人計画」と並び
安倍政権が「成長戦略」に掲げる留学生の就職率アップを実現するためだ。
 その後、政府は方針を引っ込め、2019年度にも導入が見込まれた就職条件緩和策は、今のところ実現していない。だが、
今年3月に卒業時期を迎えた留学生に対し、就労ビザの発給基準が大幅に緩んだことは、取材を通じて断言できる。
 専門学校や大学を経ず、日本語学校の卒業と同時に日本で就職した留学生も数多い。日本語能力がなかろうが、専門職向け
の在留資格「技術・人文知識・国際業務」(通称「技人国ビザ」)が得られている。「母国の大卒」という学歴を使ってのことだが、
以前ではあり得なかった大盤振る舞いだ。

(続く)