とんかつ屋の悲劇 〜 行列ができる人気店がなぜ廃業するのか
中村智彦 | 神戸国際大学経済学部教授
ttps://news.yahoo.co.jp/byline/nakamuratomohiko/20180827-00094583/
 「何十年も変わらない値段と、チェーン店ではありえない品質の高さと格安さ」などとグルメサイトでも称賛されている
ことが多い。しかし、それを可能にしているのは、すでに減価償却の終わった古い設備、ローンを払い終えた自社店舗、
そして年金をもらいながら夫婦で切り盛りしていることなどだ。
 ある意味、年金が経営継続への補助金のようになっているわけだ。こうした経営を続けてきた場合、いよいよ世代交代の
時期になると若い現役世代にはとても生活をしていけるだけの収入を得ることができない。
 「そうなってから、急に値段を大幅に上げるなどはできないし、設備更新などに多額の費用がかかるので、後継者に
とっては重荷になるでしょう。」商業関係の支援事業を行う行政職員は、そう話す。先の外食産業の社員も、「夫婦二人で
一人分の給与しかなく、それでやっと可能になっているような低価格がウリでは、いくら有名でも、のれん代を出してまで
買収する意味はあまりない」と言う。

(続く)