論点:「移民社会」 海外の事例から
ttps://mainichi.jp/articles/20190405/ddm/004/070/012000c

■仏国民も「より豊かな国」へ  エルベ・ル・ブラーズ フランス歴史・人口統計学者

 欧州においてはかつて、外国人労働者側も受け入れ国側も、資金を稼いだら帰国する一時的な滞在を想定していた。だが、
1970年代のオイルショックを境に外国人労働者らは母国から家族を呼び寄せ、とどまることを望んだ。

 対処能力を超えた数の難民・移民の流入で、欧州が混乱しているのは字ずつだ。新たな在留資格を導入して外国人労働者
を受け入れようとする日本でも、将来的に国民が移民を「脅威」として捉える可能性はあるだろう。

■人材獲得、国が争う時代に  薛東勲 韓国・全北大教授

在日コリアンを含めた在留外国人の数からすれば日本は実質的に移民国家だ。安倍晋三首相は「移民政策ではない」と説明
するが、日本経済を生かすための「外国人受容プロジェクト」が始まったと私は見ている。
 特に注目しているのは「特定技能2号」だ。現時点では一部業種に限られているが、非熟練労働者も「特定技能1号」から
2号への移行が可能で、永住権取得の道が開けた。韓国にも外国人労働者が在留期間を更新して家族同伴ができる資格に
移行する制度があるが、年間300人程度にとどまり、ほとんど不可能に近い。
 これまでは日本の技能実習制度よりも韓国の雇用許可制が優位に立っていた。だが、入管法改正により、永住の可能性が
ある日本を選ぶ外国人労働者も出てくるだろう。日本が特定技能1号の外国人労働者を受け入れる9カ国は、韓国が雇用許可制
で受け入れる国と重なっている。日韓が人材獲得競争をする時代に入ったと言える。

(続く)