企業に「社員教育を強制」するイギリスの思惑
最低賃金引き上げに「スキルアップ」は不可欠
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長
ttps://toyokeizai.net/articles/-/270909
日本人の「教育改革論」がいつも的外れなワケ
課題は「子ども」ではなく「社員教育」にある
ttps://toyokeizai.net/articles/-/273079

日本人の議論は「のんき」すぎてお話にならない
危機感をもって「本質」を徹底的に追求せよ
ttps://toyokeizai.net/articles/-/275028
 教育についての議論も、実にのんきです。教育の対象を子どもから社会人に大胆に変更しなくてはいけないのに、
日本の大学はいまだに、毎年数が少なくなる子どもの奪い合いに熱中しています。

 先進国の中では、少子化と生産性との間にかなり強い相関関係があるという研究があります。生産性が低く少子化が
進んでいる複数の国で、教育費の補助を出しても思い通りには出生率が上がらなかったという興味深い事実もあります。
 ですから、教育費を無償にしても本質的な対処にはなりませんし、税金か借金でまかなうしかないので、結局経済に
悪影響を及ぼすのです。

 私の分析では、日本が輸出小国である最大の理由は、規模が小さい企業が多すぎて、たとえすばらしい商品があった
としても、輸出するためのノウハウや人材が欠けている会社が大半だからです。すなわち、輸出のためのインフラが
弱すぎるのです(「ものづくり大国」日本の輸出が少なすぎる理由)。

 経産省も厚労省もまったく思慮が足りていません。分析が浅すぎるのです。
 決して公言はしないでしょうが、経産省は「日本企業は、お金さえあれば最先端技術を導入したいと思っている」という
前提に立っているようですが、これは事実と反します。何度も言いますが、そもそも日本企業は規模が小さいので、
仮に最先端技術を導入したとしても、十分に活用できるとは思えません。
(続く)