サンデー毎日2019年4月14日号
・〔サンデー時評〕/14 喫緊の課題か [外国人労働]解禁=高村薫
ttp://mainichibooks.com/sundaymainichi/backnumber/2019/04/14/
人手不足の早急な解消を求める経済界の声に応えた入管法改正だが、こんな状態では、いま働いている技能実習生に、
在留期間後も引き続き残留してもらうための新制度だと揶揄されて当然である。
 事実、特定技能1号、2号といっても、受け入れ分野14業種のうち、外食・ビルクリーニング・介護・農業・宿泊・
飲食料品製造・自動車整備・漁業の8業種は労働生産性が全業種平均を下回っており、そこでの受け入れ予定人数
は全体の7割を超えているのだ。ここからは、低賃金のため日本人が避ける現場を外国人労働者が支える従来どおり
の構図が見えるだけであり、多文化共生どころか、分断がより進むのは確実である。
     …(略)…
 たとえば少子高齢化で若年層や労働人口が減っているのに、私たちは依然として昔と同じ量のインフラやサービス
を維持しようとしているだけではないのか。人口減の社会にはそれに見合ったサービスの規模がある。終夜営業や
宅配の翌日着などはすぐにでも見直せるはずだし、AIの活用やロボットの普及で乗り切れる分野も数多くあるのでは
ないか。
(続く)