日本人は「人口減」で起こる危機を甘く見ている
最低賃金を上げ、自ら変わらねばならない
ttps://toyokeizai.net/articles/-/272235
 そのような立場から、アトキンソン氏はこれまでにも自著を通じて日本の将来を案じてきたが、今回、その語り口には
これまで以上の緊張感がみなぎっているようにも思える。

 人口減少と高齢化が進む日本には大変厳しい未来が待ち構えています。これは脅しでもなんでもなく、人口動態などの
 データを冷静かつ客観的に分析すれば見えてくる、ほぼ確実な日本の未来です。

 今すぐにでも対応を始めないと、日本は近い将来、三流先進国に成り下がることは確実です。いや、下手をすると、
 日本は三流先進国どころか途上国に転落する危険すらあるのです。(「はじめに 日本人の勝算」より)

 ところが日本国内に蔓延しているのは、「今までの仕組みを微調整して対応すればなんとかなる」というような、その場
しのぎの楽観論ばかり。危機感がまったく伝わらないからこそ、アトキンソン氏としても焦燥感を禁じえないというわけだ。

 いま求められているのは、これまでの常識から距離を取り、前提条件にとらわれずに解決策を見いだす思考だと
アトキンソン氏は言う。そこで本書においてもさまざまな角度からこの問題に斬り込んでいるのだが、特に興味深いのは
第5章「最低賃金を引き上げよ」から第6章「生産性を高めよ」につながる流れだ。

(続く)