マル激トーク・オン・ディマンド
日本人が知らない日本の「スゴさ」と「ダメさ」 デービッド・アトキンソン氏(小西美術工藝社社長)
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 例えば、日本人の多くは、日本が1964年の東京五輪や1970年代の万博を経て、経済大国への道を駆け上がることが可能だった
のは、日本人の勤勉さと技術や品質への飽くなきこだわりがあったからだと信じている。
 しかし、アトキンソン氏はデータを示しながら、前後の日本の経済成長の原動力はもっぱら人口増にあり、他のどの先進国よりも
日本の人口が急激に増えたために、日本は政府が余計なことさえしなければ、普通に世界第二の経済大国になれたと指摘する。

 むしろ90年代以降の日本は、過去の輝かしい成功体験と、その成功の原因に対する誤った認識に基づいた誤った自信によって、
身動きが取れなくなっていたとアトキンソン氏は見る。
 逆に、日本は人口増のおかげで経済規模を大きくする一方で、一人ひとりの生産性や競争力を高めるために必要となる施策をとって
こなかった。そのため、規模では世界有数の地位にいながら、「国民一人当たり生産性」は先進国の中では常に下位に甘んじている。
 その原因についてアトキンソン氏は、日本は長時間労働や完璧主義、無駄な事務処理といった高度成長期の悪癖を、経済的成功の
要因だったと勘違いし、その行動原理をなかなか変えられないからだと指摘する。
 また、その成功体験に対する凝り固まった既成概念故に、日本人、とりわけ日本の経営者は一様に頭が固く、リスクを取りたがらない。
人口増加局面では、無理にリスクなど取らず、増える人口を上手く管理していけば自然に経済は成長できたたが、人口増が止まり、
むしろ人口の減少局面に直面した今、効率を無視した日本流のやり方は自らの首を絞めることになる。

(続く)