Voice 2019年4月号
なぜ社会の分断が進むのか ジョナサン・ハイト
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 移民に付随する困難

 ――島国で歴史の長い日本は、国民の同調圧力が強い国だと思われています。欧州でさえ、移民が軋轢を起こしているのに、
日本のような国が文化の異なる移民とうまく共存していくことができるでしょうか。

ハイト 移民の移住と同化というテーマは非常に重要なものですが、ほとんどの西洋の国では率直な話ができません。ここでも
発言には慎重にならなければなりません。多様性は社会に多くの影響をもたらします。クリエイティビティを増すことは明らかです。
移民は多くの場合スキルや新しい視点をもたらします。もしアメリカが移民を受け入れていなかったら、現在のアメリカになって
いないでしょう。日本はダイナミズムに問題があるので、移民を受け入れることは助けになるでしょう。
 ただし、移民にはそれに付随する困難があります。価値観の異なる人を受け入れることで、社会の信用度が下がることです。
 日本は非常に信用度が高い国です。たとえば、日本には小さな子供が一人でおつかいに行くテレビ番組がありますね? アメリカ
ではありえない番組です。もし私が子供にやらせれば、逮捕されます。9歳の子供でも、一人でおつかいにやらせれば、親は逮捕
されます。われわれの社会にはお互いの信用がありません。ヨーロッパの最近の例でも、異なる文化背景をもった人が大量に
入ってきて同化が進まなかったため、それが多くの対立や信用度の低下につながっています。
(続く)