米共和党の移民政策の盲点(The Economist)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO4176013026022019TCR000/
 過去30年、時代に取り残されたガストニアやその他の何百という街に流入してきたヒスパニック系移民は、米国にいかに変化を
与えてきたかを表している。今やヒスパニック系人口は60年代から9倍に増え、約6000万人に達する。多くは移民2世か3世で、
全国に散らばり、行く先々で経済成長を促し、社会の在り方を変えてきた。
 白人人口がまさに減少に転じようとしている現在、ほとんどの州には活気あふれるヒスパニック系移民のコミュニティーが存在
する。ノースカロライナ州のヒスパニック系人口も90年は約4万人だったが、今は100万人近い。同州が90年代以降、大きく成長
してこられたのは、移民の流入に負うところが大きい。

 メキシコとの国境が米国にとって危機だとするトランプ大統領の発言を考える際、こうした移民が米国にもたらしてきた変化を
理解することが極めて重要だ。
 トランプ氏は、国境の状況を心底懸念しているというより、白人支持層が今感じている「白人がマイノリティーになっていく」という
人口構成の変化に対する不安に対応しようとしているようにみえる。違法な国境越えが大きく減り、移民の専門家のほとんどが
必要ないとしているにもかかわらず、同氏が壁の建設にこだわっていることが、それを物語っている。

 だが、もはや手遅れだ。米国のヒスパニック系人口の増加は、大半が新たな移民ではなく、自然増加によるものだからだ。

 また、大半がヒスパニック系である約1100万人に上る不法移民が、厳しい環境でも米国民より一生懸命働くのも不思議ではない
(編集注、いつ強制送還されるかも分からないため)。それが賃金にどう影響するか経済学者の見解は分かれるかもしれないが、
理論的には既存の米国民には不利になる(編集注、賃金を押し下げられたり、仕事を失ったりする)ため、移民に反感を持つのは
当然だろう。
(続く)